WIRED.jpのアタリVCSプロトタイプ記事について [レビュー]
○アタリ・ヴィデオ・コンピューター・システム – ザ・プロトタイプ20世紀が見た夢
WIRED.jpにて、アタリ社が1977年に発売した家庭用ゲーム機、ビデオ・コンピューター・システム(VCS)のプロトタイプが紹介されています。
○Original Models: A Look at Iconic Tech Prototypes
元々は本家WIRED.comのこちらの特集ページ。Apple Iやモトローラのセルフォンといった歴史的機器のプロトタイプ(試作品)を写真入りで解説した良記事です。しかし非常に困ったことに、日本語への翻訳に際して重大な間違いが二点ほど生じてしまっています。
アタリVCSのコードネームの”ステラ”が、自転車のブランド名に由来するのは事実です。しかし、その自転車を愛用していたのはアルコーンではありません。
正しくは開発メンバーの一人であった、Joe Decuir(読みに自信が無いので英語表記)の自転車です。
■Joe Decuirが現在でも所有しているステラの実物
実はこの箇所、WIRED.comの原文では"codenamed Stella after an engineer’s bicycle"(とある技術者の自転車にちなんだ)と、ちゃんと書かれています。つまり、WIRED.jpが誤訳しているのです。
世界初の商用家庭用ゲームコンソールは、マグナボックス社のオデッセイ(72年)。エポック社のテレビテニスも、マグナボックス社との技術提携品です。
そしてこの記述は、WIRED.comの原文には全く存在しません。不可解なことに、WIRED.jpのスタッフが独自に間違った説明を付け加えてしまっているわけです。
ここから余談。
上の"ステラ”の写真は、04年に出版された「High Score The Illustrated History of Electronic Games」の第二版より引用させていただきました。同書は写真資料が豊富なビデオゲーム史解説本。「それは『ポン』から始まった」の参考文献としても名前が挙げられている名著です。
○High score!: the illustrated history of electronic games
「High Score」は、Google Booksで一部ページを閲覧できます。興味を持たれた方は是非とも中身を覗いてみてはいかがでしょうか?
○Amazon.com: High Score, Third Edition
そして嬉しいニュース。
「High Score」は版元絶版として入手困難な状態にありましたが、Amazon.comにて第三版が予約受付中です(2011年10月発売予定)。おそらく第二版には収録されていなかった、PS3、Xbox360、DS、PSPといった現行プラットフォームの情報が追加されるのではないかと思います。
日本のAmazon.co.jpでは、まだ商品登録はされていないものの、ビデオゲームファンにはmust buyな洋書となりそうです。
WIRED.jpにて、アタリ社が1977年に発売した家庭用ゲーム機、ビデオ・コンピューター・システム(VCS)のプロトタイプが紹介されています。
○Original Models: A Look at Iconic Tech Prototypes
元々は本家WIRED.comのこちらの特集ページ。Apple Iやモトローラのセルフォンといった歴史的機器のプロトタイプ(試作品)を写真入りで解説した良記事です。しかし非常に困ったことに、日本語への翻訳に際して重大な間違いが二点ほど生じてしまっています。
エンジニアチームのトップであったアル・アルコーンは、このプロジェクトを(愛用の自転車ブランドから)"ステラ"と名づけ、カリフォルニア州グラスヴァレー近くの山頂にあるラボで開発を進めた。 |
アタリVCSのコードネームの”ステラ”が、自転車のブランド名に由来するのは事実です。しかし、その自転車を愛用していたのはアルコーンではありません。
正しくは開発メンバーの一人であった、Joe Decuir(読みに自信が無いので英語表記)の自転車です。
■Joe Decuirが現在でも所有しているステラの実物
実はこの箇所、WIRED.comの原文では"codenamed Stella after an engineer’s bicycle"(とある技術者の自転車にちなんだ)と、ちゃんと書かれています。つまり、WIRED.jpが誤訳しているのです。
ちなみに、現在家庭用ゲームコンソールの世界市場を牽引するのは任天堂、ソニーといった日本メーカーだが、その祖先をたどると、75年にエポック社が発売した『テレビテニス』(通称"ポンテニス")へと行き着く。 |
世界初の商用家庭用ゲームコンソールは、マグナボックス社のオデッセイ(72年)。エポック社のテレビテニスも、マグナボックス社との技術提携品です。
そしてこの記述は、WIRED.comの原文には全く存在しません。不可解なことに、WIRED.jpのスタッフが独自に間違った説明を付け加えてしまっているわけです。
ここから余談。
上の"ステラ”の写真は、04年に出版された「High Score The Illustrated History of Electronic Games」の第二版より引用させていただきました。同書は写真資料が豊富なビデオゲーム史解説本。「それは『ポン』から始まった」の参考文献としても名前が挙げられている名著です。
○High score!: the illustrated history of electronic games
「High Score」は、Google Booksで一部ページを閲覧できます。興味を持たれた方は是非とも中身を覗いてみてはいかがでしょうか?
○Amazon.com: High Score, Third Edition
そして嬉しいニュース。
「High Score」は版元絶版として入手困難な状態にありましたが、Amazon.comにて第三版が予約受付中です(2011年10月発売予定)。おそらく第二版には収録されていなかった、PS3、Xbox360、DS、PSPといった現行プラットフォームの情報が追加されるのではないかと思います。
日本のAmazon.co.jpでは、まだ商品登録はされていないものの、ビデオゲームファンにはmust buyな洋書となりそうです。
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