「パックマン＝ピザ」は伝説なのか？

パックマンのキャラクターデザインは、開発者が「ピザを1切れ取った残りの形からヒントを得た」という話をし、これを信じている人が多い。しかしこれは、パックマンが発表される10年も前からパックマン貯金箱、4年前にパックマンゲームを発売しているトミーから「名称・デザインが酷似している」とクレームが来た際に出た、ナムコ側の抗弁が広まったものである。
またこの“ピザ伝説”には、ジョージ・ルーカスが、「ピザの形からスター・ウォーズのミレニアム・ファルコン号を思いついた」という、その筋では有名な元ネタの存在が指摘されている。
○パックマン　（from Wikipedia）

…全く意味がわかりません。
確かにWikipediaの記述の通り、ナムコが『パックマン』を発表する以前にトミーより同名の玩具が発売されていたことは事実です。
しかし、なぜトミーに対してナムコが抗弁を行ったことを理由に、“パックマンは食べかけのピザの形をモチーフにした”との逸話が疑われなければならないのでしょう？


「パックマン」のゲームデザインは、まず「食べる」という言葉から色々な連想をして考えました。
今までにない、女性でも楽しめるゲームをつくろうとしていたので、ゲームやキャラクターの名前も言葉の響きの可愛いものにしたかったのですが、考えているうちに、ものを食べるときの動きを表す言葉として、「パクパク」という擬態語に思い当たったんです。今度は「パクパク」という言葉をいじってみました。その結果「パックマン」という名前に決定したのです
キャラクターのデザインについては、ある日の昼食のときに偶然ヒントが思い浮かびました。ご存知のとおり、ピザは幾つかの扇形に切り分けられていますよね。私は食べようとして、そのうちのひときれをとったんです。残りのピザの形を見てピンときましたね。「これはゲームのデザインに使える！」ということで、私は早速スケッチを書きましたよ。

■出典　「電視遊戯大全」　テレビゲーム・ミュージアム・プロジェクト　UPU（88年）

20年前に行われたインタビューの中で、『パックマン』の作者の岩谷徹氏はこのように述べています。また、2005年に出版された「パックマンのゲーム学入門」の中でも、同様の説明を見ることができます。
岩谷氏の発言は一貫していると言えますね。

このWikipediaの文章を書いた編者は、パックマン誕生の逸話がトミーへの抗弁の際に捏造されたと証明できるソースを示すべきです。そうでなければ、Wikipediaの編集方針である検証可能性に反します。
“スター・ウォーズのミレニアム・ファルコン号が元ネタ”との部分も同様です。明らかに独自研究だろ、これ。

（Amazonリンク）

パックマンのゲーム学入門

• 作者: 岩谷 徹
• 出版社/メーカー: エンターブレイン
• 発売日: 2005/09/17
• メディア: 単行本

（08/5/27）　本文一部訂正

タグ：ゲーム

コメント 3

この頃って　そんな簡単に情報手に入れれないと自分は、思います。
不思議なのは、ゲームと貯金箱まったく見た目の違うキャラで
なぜ　そこまで言うのかが理解できない。
by Windmill (2008-05-26 16:37) 

CSでゲームセンター｢CX」の再放送をやってまして、先週の放送分で、岩谷徹氏のインタビューがありました。
「食べる」というコンセプトやピザを一切れとった形など同じ内容を話しておられまして、あまりにタイムリーなので、良い復習になりました。
Wikiの内容に出典、参考文献がないとなると、当時のナムコかトミーの関係者ということを明かさないかぎり、ただのゴシップですね。

by Mt (2008-05-26 20:43) 

>Windmillさん
nice!ありがとうございました。
wikipediaの編集履歴をたどってみましたが、「ナムコがパックマンを発表する前に、トミーから同名の玩具が発売されている」→「ってことはトミーの玩具を参考にしたんじゃね？」って感じで、憶測に尾ひれがついて現在の記述に至っているみたいなんですよね。

>Ｍtさん
実はゲームセンター「CX」は一度も見たことがないんです（笑）。その代わり、単行本の方は持ってます。
先日のナッツ＆ミルクもそうですが、Wikipediaのゲーム関係の項目ってソースにあたってない記述が結構ありますね。ちょっと気をつけておきます。
by loderun (2008-05-27 00:46)