『スーパーマリオブラザーズ』は何に勝ったのか? [レトロゲーム]
○「マリオ時代」の黄昏 「いいソフトさえあれば勝てる」という常識が変わりはじめた (from NIKKEI NET)
日経ビジネスオンラインで12月27日に公開された野安ゆきお氏の文章に関しては、既にネット上で数多くの反論が寄せられています。
やはり僕が一番気になったのが、「いいソフト」という言葉の定義を明らかにせず、読者のイメージに任せて議論を進めている点ですね。その辺りは、はてなブックマークでも多数の人が指摘しているので本稿では割愛します。
また、記事後半で語られる、ユーザー主導型コンテンツへのシフトに関しては、swimieさんの分析に僕も賛成です。
○マリオ時代の終焉を読んで (from やんやんブログ)
んで、ここからは「重箱の隅」的なツッコミであると最初に断らせてもらった上で、一言物申したい。
僕が噛み付くのは、次の部分。
「ゲームビジネスで大事なのは、いいソフトがあるかどうかだ」
(中略)この常識が誕生したのは1985年と考えていいでしょう。ファミコンに「スーパーマリオブラザーズ」が登場し、家庭用ゲームの一大ムーブメントが始まった瞬間から、「いいソフトが遊べるゲーム機が勝つ」という法則は定着しました。そしてそれは、それから20数年にわたり、つねに正しい指針でありつづけたのです。
いや、スーパーマリオ登場以前の84年の時点で、既にファミコンはブッチギリで家庭用ゲーム市場を制覇してたんだけど?
セガSG/SCにアタリ2800、ぴゅう太といったライバル機たちを瞬殺したのが、83年に発売されたファミリーコンピュータです。
そして初期のファミコン人気を牽引したのは、『ドンキーコング』や『マリオブラザーズ』といったアーケードゲームの移植作だけではありません。『ベースボール』(235万本)に『麻雀』(213万本)、そして『ゴルフ』(246万本)といったソフトでした。意外と忘れがちな事実ですが、当時はテーブルゲームやスポーツゲームといったジャンルが「いいソフト」だったわけです。
そういうわけで、スーパーマリオがファミコンというゲーム機に「勝ち」をもたらしたとする説明は、事実に反していると言えますね。
ただ、スーパーマリオによって「家庭用ゲームの一大ムーブメントが始まった」との表現には、まったく反論はないです。なにしろ、国内累計販売本数681万本ですから(笑)。
しかし、スーパーマリオの真の功績は単なる売り上げ本数に留まりません。
すなわち、横スクロール型アスレチック・アクションの面白さを、メインターゲットである低年齢層はもとより、『ゴルフ』や『麻雀』を遊んでいたような高年齢層にも知らしめた点にあると僕は考えます。
野安氏の言うように、マリオやゼルダのようなゲーム通向けの作品、あるいは大作ゲームのシリーズ続編が以前ほど売れなくなったのは事実でしょう。そんなWiiで、現在最も売れているのは『Wii Sports』であり『Wii Fit』です。
なんのことはない、かつてテーブルゲームやスポーツゲームから、『スーパーマリオブラザーズ』のような2Dアクションゲームへと「いいソフト」の座が移行したように、消費者の嗜好は時代によって変わるというだけの話じゃないでしょうか?
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まったくその通りで。
「いいソフト」と「マリオ」は決してイコールではないですよね。
確かに、そういったジャンルがいまだに根強い人気を持っているのは事実ですけれども、それが大衆にとって「いいソフト」であるかどうかは分からない。
事実、ウチの店でも「スーパーマリオを買えば大丈夫」みたいな考え方のお客さんは減ってきています。
その代わりに、「脳トレ」や「マリオパーティ」等が飛ぶように売れる。
要は機械の特性が変わった為に、大衆の認識も変わっただけの話。
by おーしゃん (2007-12-30 20:53)
年末商戦、本当におつかれさまです。
野安氏の文章は、やはり「いいソフト」という曖昧な表現を使ってしまったのが失敗だと思います。
それはさておき、普段から「レトロゲーム最高!」と公言している僕としては複雑な心境ですね。なんか自己矛盾だ(笑)。
by loderun (2007-12-31 12:31)