『沙羅曼蛇』もコナミの登録商標ではなかった？

沙羅曼蛇 ポータブル

• 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
• メディア: Video Game

○沙羅曼蛇 PORTABLE　（公式サイト）

>「サラマンダー」は株式会社タカラトミーの登録商標です。


先日のグラディウスの商標の件の続きではありませんが、ふと何の気になしに『沙羅曼蛇 PORTABLE』のパッケージ裏を眺めていて気付いたのが上の一文です｡
慌てて特許電子図書館で検索してみました｡

結論から言うとコナミは、業務用ビデオゲームやコイン・カードゲーム機、トレーディングカード、オンラインゲームといった区分に関しては「沙羅曼蛇」の商標権を保有しています｡
しかし、家庭用ビデオゲームに於いては、トミー工業株式会社（当時）が「サラマンダー」との商標をコナミに先んじて出願していました。
このため、コナミは「沙羅曼蛇」の登録商標を未だ取得していないのです｡

以下、順を追って説明してみます｡

商標公報データベースによれば、タカラトミーの保有する「サラマンダー」との登録商標の出願日は昭和６０年（１９８５）３月１５日｡アーケード版『沙羅曼蛇』（86年）がリリースされる以前となります｡
トミーが「サラマンダー」を申請した理由は、同社の大ヒット玩具シリーズ『ゾイド』に同名のキャラクターが存在するからです｡

しかしコナミにとって不幸だったのは、トミーが保有する「サラマンダー」の登録商標が電動式玩具のみならず、家庭用ビデオゲームにも効力が及んでしまうことです。
これは、当時の商標登録が昭和３４年法と呼ばれる古い法規に基づいており、現在ほど商標権の適用される区分が細かく定められていなかったことも一因でしょう｡

ここで、「サラマンダーと沙羅曼蛇は字が違うから別にいいんじゃないの？」と疑問に思われる方がいるかもしれません。
しかし、登録商標の原則として「同一または類似する区分において、権利者以外が同一または類似する称呼（呼び名）を使用することはできない」との考え方があります。
例えば、「武蔵」という登録商標が既に存在する場合、別の者が後から「ムサシ」、「むさし」、「ＭＵＳＡＳＨＩ」、あるいは「タケゾー」という商標を出願しても、異なる商標として認められることは無いということです。

もちろん商標の類似・非類似が使用者間で争いとなった場合、最終的には裁判という形で司法に判断を仰ぐことになります。
しかし、今のところ『沙羅曼蛇』に関する商標の取り扱いは、コナミとタカラトミーとの間でなんらかの合意が得られているように見受けられます。
「家庭用機の『沙羅曼蛇』はコナミのものじゃないんだ！」と心配する必要は全くないでしょう。

ただし、グラディウスの時にも感じたのですが、「商品を発売する前に、予め商標調査を行う」との大原則を当時のコナミは疎かにしていたとしか思えないんですよね。
今となっては信じられませんが、本当にテキトーなことがまかり通っていた時代だったんだなぁ（苦笑）。

（関連記事）
○『グラディウス』はナムコの登録商標だった？

コメント 5

はじめまして。すずりんと申します。
登録商標の話面白かったです。
「特許電子図書館」なる便利なものがあるのですね。
私も是非活用させていただきたいと思います(笑)！
by すずりん (2007-06-16 22:58) 

はじめまして、nice!ありがとうございました。
実際、特許電子図書館は面白いですよ。表には出てこない企業間の綱引きを、垣間見えることができますね。
by loderun (2007-06-17 21:52) 

通りがかりですが…コナミが疎かにしてたというより…本来はこんな商標バトルなんか無い方が良いんですよね。







馬鹿げてると思います。今の風潮は、実に。
結局、金か。と。
by 　　 (2007-10-27 00:12) 

あえてキツい言い方をします｡
「こんな商標バトルなんか無い方が良い」とする貴方の主張は、実社会では全く通用しないチャイルディッシュな理想諭です｡
「結局、金か」と貴方が嫌悪感を表明されるのは勝手ですが、知的財産保護のありかたについて一度勉強されることをおすすめします｡
by loderun (2007-10-27 14:31) 

ポップンミュージックアニメロがアニメーションメロディ なのも家庭用のみの商標が絡むんでしょうね。
by Z (2008-08-26 21:47)