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「体感ゲーム」という名の追憶 [レビュー]

突然だが、このblogを見ているゲームファンの皆さんに問いたい。あなたは「体感ゲーム」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
試みにサーチエンジンで「体感ゲーム」を検索してみて欲しい。きっと、30才以上の人は予想に反した結果に驚くだろう(笑)

という訳でYahooでもGoogleでも検索結果のTOPにくるのがこのサイトだ。
体感ゲームWEBサイト
簡単に説明すると、ここでの「体感ゲーム」とは、ハード・ソフト一体型で家庭用テレビにプラグ・アンド・プレイで接続でき、実際に手や体、声(!)を使って操作するゲームたちの事だ。(エポック社はこの分野で積極的な商品展開をしているメーカーの一つである)。なるほど、確かに「体感ゲーム」と呼んでさしつかえない仕様である。
この手のTVゲームに対して「子供向け」といった印象を受けるかもしれないが、これはこれで現在あなどれない市場となっている。コンシューマーのビッグタイトルと結びついてヒットした「剣神ドラゴンクエスト」をご存知の方も多いのではないだろうか。
だが当blogでは記事の趣旨として、「オレの知っている体感ゲームはこれではない!」と断固として主張する。魂のシャウトだ。

という訳で長い前置きを踏まえて今回の話題としたいのが、セガの「スペースハリアー」「アウトラン」や「アフターバーナー」を代表とする、80年代末期のアーケードシーンを飾った、ムービング筐体の「体感ゲーム」たちだ。
当時を知らない人に、あのころの絢爛としたゲームセンター(特に大型店)の雰囲気は想像できないかもしれない。とにかく体感ゲームの筐体は大きく、そして目立った。確かにこれ以前にも「ポールポジション」などのレースゲームに代表されるように、コックピットタイプの大型筐体のゲームは存在した。しかし「体感ゲーム」が革新的であったのは、プレイヤーのゲーム操作に連動して筐体自体がダイナミックに可動することだ。今となってはなんでもないこのギミックは驚きを持って迎えられた。

レーシングバイクを模した外観が印象的な「ハングオン」や戦闘ヘリのゲーム「サンダーブレード」などはプレイヤー自身の体重移動や腕力(笑)により動かしていたが、多くの体感ゲームはアクチュエーター(モーター)でシートが前後左右に傾いたり、あるいは左右に回転する。さながら遊園地のライドも顔負けの臨場感と迫力だ。その派手さにゲーマーだけでなく、ライトユーザー達も飛びついた。
ちなみに当時の僕はレーシングゲームへの適正が無くて(今でもそうだが)、もっぱら下手なアフターバーナー2に興じていたものだったが、ナムコの「メタルホーク」にハマり、もうすぐ1コインクリアという所まで上達した。操縦桿を握りしめた時の感触は今でも忘れられない。

だが、ゲームセンターの花形であったムービング筐体の「体感ゲーム」たちは徐々に、そして着実にその数を減らしていった。機械代が高価でメンテナンスも大変である。その上、「新しい刺激」を求め続けるユーザーの欲求に応えるには、常に新機種を導入しなければならない。オペレーター側の負担が大きすぎたのだ。対戦格闘ゲームの隆盛がとどめを刺した。

もちろん現在でも「F-ZERO AX」のように、ムービング筐体の新作アーケードゲームは存在する。しかし、それを指して「体感ゲーム」と呼ぶ者はもういない。若い世代のゲーマーに至っては、「一般人受けのための高価なムービング筐体よりも、スタンダード筐体をよりたくさん設置して対戦環境を充実してほしい」と意見する者もいるくらいだ。確かにそれも一理ある。

だが一方で、「かつての体感ゲームを越えるものはない」と公言してはばからないゲームファンの声は多い。実際、80年代のセガの「体感ゲーム」たちは、間違いなくゲーム史にその名を残す名作ばかりである。
しかし、例えばamazonでSEGA AGES版「アウトラン」について多くのユーザーが酷評している状況を見ると、「アレンジ移植がいけない」とか言う以前の問題に思える。即ち、「体感ゲームは実機のムービング筐体でプレイしてこそ楽しい」という極めてシンプルな理由によるものではないか、と。

生物の歴史において、巨大化の方向に進化し大いに繁栄するも、ついには環境の変化に適応できずに滅びてしまった恐竜たち。それと同じく、当時の「体感ゲーム」もまた、ハードウェア技術の進歩の過程で生まれ、一時代を築き、そして忘れがたい思い出を残したまま時代の波間に消えて行きました。

もしもあなたが奇跡的に、場末のゲームセンターで現役で稼動している「体感ゲーム」の姿を見かけたら、どうか1コインで良いから、今はいなくなった彼らを、プレイしてあげて下さい…。

体感ゲーム筐体のスクリーンショットを紹介するために、下記サイトにリンクさせてもらいました。
KLOV (Killer List of Videogames)
http://www.klov.com/

また、「体感ゲーム」についてはののおさんのblog、ねじれ帝国が思い出を述べられている。TBさせて頂きました。


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コメント 4

どうもです。

現在の家庭用ゲーム機とゲーセンのビデオゲームが技術的にあまり差を感じなくなった今だからこそ、記事中の体感ゲームと呼ばれるものが必要ではないかと思います。
折りしも「ゲームセンター」が「アミューズメントパーク」と名称を変えたのなら、
それはなおさらの事だと感じます。

あとこういった過去の体感ゲームを探すなら、田舎の遊園地などのゲームコーナーとかを覗いてみるのがオススメです。
ちなみに遊園地ではありませんが、僕の地元の動物園のゲームコーナーには
エレメカ達に混じって、「スペースハリアー」が当時の筐体のまま、現役で稼動しています。

そういうのを見るにつけ、懐かしさとともに少しばかり可哀相な気持ちになってくるのは僕だけでしょうか?
by (2005-02-08 22:17) 

loderun

「体感ゲーム」必要諭ですが複雑なところです。
というのも、まず記事中に書いたように「ムービング筐体の業務用ゲーム」というかつての定義が、現在では「家庭用の特殊操作系ゲーム」という一ジャンルにシフトしてしまっている現状に本当に僕は驚きました。
しかし言葉の問題だけではありません。例えば仮にムービング筐体の「アフターバーナー3」が今リリースされたとしても、僕自身が以前と同様に興奮を覚えるかどうか?正直、自信が無いのです。
やはり「あの時代」を経験した者だからこそ、彼らを特別に感じるのでしょうか。レトロゲームを語るに際して、個人的な体験のみを述べるのではなく、可能な限り客観的な表現をしようと試みているのですが、なかなか難しいです(苦笑)

動物園で現役で稼動するスペハリ…。微妙な所ですが、元気に余生を送っているのなら、僕はきっと嬉しく思うでしょう。10クレジットぐらい入れてしまうかも。
最期に、サンダーブレードで胴上げされた件、いい話ですね。僕は1面とかで余裕で死んでました(笑)
by loderun (2005-02-08 23:17) 

だったけ

体感ゲーム!!懐かしいです。
「ハングオン」にはまってましたが、みんな両足を地面につけて操ってました。
鈴鹿のゲーセンでワインガードナー(WGPライダー)が「ハングオン」を足付かずにハングオンしてるの見て二度とやらなくなりましたが、久しぶりにやりたいです。ゲーセンいやアミューズメントパークで見かけたら必ずコイン投入します。
by だったけ (2005-02-17 20:30) 

loderun

はじめまして、鈴鹿でワインガードナーの「生ハングオン」を目撃されたとは、羨ましい体験ですね。でもホントは全体重の負荷を与えるのはダメだと思います(両足をつけてプレイするようにとの注意書きがあった筈)。
関係ないですが、「バリバリ伝説」とハングオンのおかげで、いまだにハーレーやネイキッドタイプよりもフルカウルのレーサーレプリカに憧れてしまいます(笑)
by loderun (2005-02-17 23:36) 

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