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【緊急企画】 いまさらガンダムSEEDを語ってみる [Gundam]

驚くべきことに、2月4日に書いた「あんなに一緒だったのに」が当blogで今までに無く速いペースのPV数を叩き出している。
まさかとは思うが皆さん、記事タイトルを誤解してガンダムSEEDの話題を目当てに訪れてたりするのだろうか?そんな人は旧ハードにまつわるバカ話を書きなぐった内容にさぞかし困惑してるだろう(苦笑)

しかしそれでは申し訳ないので本日は緊急企画として、「機動戦士ガンダムSEED」という作品に対する個人的な感想を書いてみたい。
本作品は、既に放送終了から時間が経っている為、ファンの間では「語り尽くされた」感があるだろう。また、僕の意見はもしかしたら製作者自らアナウンスした「公式見解」と異なっているかもしれない。しかし、そういった「コアな情報」をほとんど持たない一視聴者の感想として読んでもらえればと思う。

最初に白状するが僕は、小学生の時に初代ガンダムをテレビや劇場で見ることができた「ファースト世代」だ。しかし今考えると、その頃の僕はガンダムのストーリーをあまりよく理解していなかった。
実際、当時の子供達を熱狂させたのは「ニュータイプ諭」、「人の革新」などといった富野監督の妄言もとい哲学などでは決してなく、登場するモビルスーツ達の「形態的なかっこよさ」だったと思う。ガンダムと言えども、アニメファンに評価を受ける以前は単なる「ロボットアニメ」の一作品だったのだ。初代ガンダムに対するこのスタンスは今でも変わらない。

僕がSEEDを観ようと思ったのはテレビ放送が終了してからになる。特に理由は無い、強いて言えば「話題になっているから」という好奇心だ。DVDレンタルで二週間かけて全話を制覇した。おかげで、2話連続総集編という異常事態にも挫けなかった。

そういう訳でガンダムSEEDという作品、結論から言うと個人的にはけっこう楽しんで観てしまった。
ただし言いたい事はたくさんある。以下、箇条書きにしてみた。
【ネタバレあり。一部反転表示にはしてありますが、未見の方はご注意を】

○いきなりガンダムタイプがたくさん出てくるのはちょっと辟易しました。でも「商売上の理由なんだろうな」という冷めた視線で許してしまいます。幼き頃、ガンプラブームに踊らされた身ですから。

○「敵・味方に引き裂かれた友情」が、敵対から和解へと進むというのは、ありがちだが悪くないプロットです。さすがにお互いに親友を一人ずつ失ったから差引0というケリのつけ方はどうかと思いますが。もう一段階、エクスキューズがあるべきでは?脚本家に減点1。

○キラとカガリが「姉弟」というのはかなり驚愕しました。例えが古くて恐縮ですが、ルークとレイア姫以上に設定に無理ありすぎ。さらにムウとクルーゼの関係が遺伝上の親子という話に至っては脱力物です。例えが古くて恐縮ですが、ルークとダースベイダー(以下同文)

○前半の山場、砂漠の虎ことバルトフェルドが叫ぶ「一方が滅びるまで戦いは終わらない」というセリフについて、「現実を知らぬ幼稚な戦争観」と批判する声を聞きました。確かに正論ですが、あれは作劇上必要な製作者のミスリードだと(好意的に)解釈することにしてます。 すなわち、

→「じゃあ、親友も含め、プラント側を皆殺しにするしかこの戦争は終わらないのか?」とキラ苦悩
→親友と殺し合いするも大後悔。さらに地球、プラント双方に争いを望まない人達がいることを発見
→そこで、「本当に戦うべき相手とは?」という問が浮かび上がる

という(見かけ上は)極めて自然な流れが出来上がります。
しかし本作での問題は、それに見合うだけの「巨悪」を用意できなかったことです。特に地球側のアズラエルはどうにも力不足。この辺りをまとめるだけでも評価が変わってくるでしょう。
昔むかし、日本テレネットの「XZR」というゲームで、『米ソの全面核戦争を止めるために、両国首脳を惨殺』というムチャクチャな話がありました。荒唐無稽ここに極まれりですが、そういうストレートな筋のつけ方、僕は大好きです(笑)

○以上、いろいろ文句をつけてますが、これくらいは僕の中では許容範囲です。世の中にはもっと非道いコンテンツが有象無象にひしめいていますし。

しかし、最終回のキラの態度、あれはいただけません。
ここから、ちょっとマジ入りますが(じゃあ今までは何だったんだ?)、本作品の真のヒロインはフレイしかありえないという立場を僕は取る者です。ラクスなんてただの飾りですよ。ちょっと一席ぶってみます。

キラとフレイはコインの表と裏の関係です。「コーディネイター」という公言し難い出自をもつ少年と、裕福な家庭で生まれ育った世間知らずな少女。2人は本来、決してリンクすることのない人生を歩むはずでした。
戦争が無ければ。

色々あって、キラとフレイは「愛し合う仲」になってしまいます。しかし、それは片や「現実逃避」、片や「復讐心」という、愛とは程遠い理由によるものでした。この関係はキラがフレイの真意(と言うには露骨だったのですが)に気づくことにより解消されます。
ここから先の展開ですが、キラは一貫性のない極めてお粗末な行動を取り続けます。脚本家出て来い。ただ、フレイについては何度かキラに歩み寄ろうとするシーンが見られます。「復讐心」とは別の感情が彼女の中に芽生え始めました。

平穏な生活も、愛する父も、輝かしい未来も、何もかも奪った憎むべき「戦争」という状況の真っ只中に彼女を踏みとどまらせたのは、「キラに自分の過ちを詫びて、もう一度受け入れて欲しい」という儚い願いでした。そして最終回です。

フレイの乗る脱出シャトルを、無情にもクルーゼ操るプロビデンス・ガンダムが撃ち抜きます。業火につつまれ、絶命するフレイ。一部の視聴者は「いい気味だ」と思ったかもしれませんが、キラは違いました。またしても「守るべき人」を目の前で、自分の無力により失ったのですから。 しかし、それだけでしょうか?

ガンダム恒例、霊体と化したフレイは「本当の思いがあなたを守る」とキラに伝えます。やっと願いが叶いました。ですが、情けないことにキラは「ぼ、僕は…、僕は」などと、どこぞの放浪画伯の如き繰言を返すだけです。ここにダメ出ししたい。

フレイの「愛」を受け入れ、そしてキラもまたフレイの事を思っていたと、彼に応えさせるべきでした。

そうでなければ、一度はプロビデンスの圧倒的な戦力の前に屈したはずのフリーダムが復活する理由の説明がつきません。さらに「あなただけは許せない!」と激昂したセリフも意味をもってきます。

結局、キラは生き残りました。運がよかったのか、それともフレイの「本当の思い」が彼を守ってくれたのか、それは、わかりません。
常に争いを嫌悪しながら、結局は己の中の「憎しみ」の感情を抑えることができなかったキラ。コーディネイターでも、特別な存在でも何でもない、彼もまた「普通の人間」でした。全てに絶望し、宇宙をただよいながら自問自答するシーン。キラはこのまま星塵となってしまうのでしょうか?

いいえ、まだ彼には現世に留まるべき理由があります。
キラの生存を確認し、涙を流しながら喜ぶアスランとカガリ。熱唱する中島美嘉。色々けなしましたが、やはり大団円は見ていてほっとします。「ファーストへのオマージュ作品」と公言するのなら、是非とも監督はこのセリフを使って、物語を締めて欲しかったです。

「ごめんよフレイ、僕にはまだ帰る場所があるんだ」


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