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ファミコンのⅡコンにマイクが採用された本当の理由 [レトロゲーム]

当初、コストの問題から、横井さんは2コンからSTARTとSELECTをはずして、ノッペラボウにしておこうと考えていた(ボタン分のコストが惜しかった)。 しかしノッペラボウはいかにも安っぽい。安いのはいいが安っぽいのはいけない。 そこで、50円未満の予算で調べたところ、マイクは30円だった。圧倒的に安い。(中略)
将来的にどんな役に立つのかは知らないが、何かの役には立つだろう。 ということでマイクが採用された、というおはなし。
ファミコンのⅡコンにマイクが採用された理由  (from 2chコピペ保存道場)

(反論)
コントローラにマイクロフォンを付けようと言い出したのは上村自身だった。テレビ受像機から自分の声が出るだけで面白いに違いないという思いつきだった。ただし、実際にはあまり利用されなかった。
【任天堂「ファミコン」はこうして生まれた】 第8回:ファミコン誕生、家庭用ゲーム機の代名詞に (from 日経NET)

以上のように、ファミコンのIIコントローラーにマイクが採用された理由は、"何かの役に立つだろう"などという曖昧なものではありません。
ファミコンのイジェクトレバーが"ゲームをしないときでもガチャガチャとやって遊べる"という理由で採用されたのと同様に、ユーザーを少しでも楽しませようとする明確な目的が存在しました。
推測ですが、この"将来的にどんな役に立つのかは知らないが、何かの役には立つだろう"とは、ゲームボーイの通信ケーブル端子の話と混同されているのではないでしょうか?

ちなみに、当blogでは何度も取り上げていますが、ファミコンの開発を主導したのは横井軍平氏ではなく、上村雅之氏率いる開発二部が正解。また、ファミコンの筐体色にアズキ色が採用されたのは、山内社長が「この色がいい」ともちかけたからです。(このエピソードも、日経の記事で紹介されてますね)
つうか、6502CPUが"倉庫に山積みにされていた"なんて珍説は初めて聞きました。受注もないのに製品を大量生産するわけないだろ常識的に考えて。

ところで、日経の記事では"実際にはあまり利用されなかった"と評されているIIコンのマイクですが、『バンゲリングベイ』とか『たけしの挑戦状』とか『ドラえもん』とか、なんのかんので強く印象に残っているんですよね。『ゼルダの伝説』のように、攻略手順の一つとしてゲームシステムに組み込まれている例もありますし。
DS『夢幻の砂時計』で、あのテクニックが再現されていたのはちょっと嬉しかったです(笑)

(関連記事)
「やる夫が任天堂社長になるようです」にツッコミ
DS『ゼルダの伝説 夢幻の砂時計』が傑作でない理由
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コメント 4

kantaku

素晴らしい記事ありがとうございます!
いやー、目からウロコ落ちまくりました。
ファミコンのイジェクトレバーの秘密に吹きました!

ファミコン本体のアズキ色プラスチックが
安かったという話は記憶の片隅にあって、
本当なのかどうなのかといった感じだったのですが、
真実だったようですね!

MOTHERの主人公が「ネス」なのは
アメリカでのファミコンの名前が「nes」に
由来するというのを聞いたことがあるのですが、
何かご存知ありませんか?
(私にとって長年の謎なのです・・・loderunさんなら
 ご存知かと・・・)
by kantaku (2009-08-11 06:32) 

牛ドリアン

いきなり失礼いたします。牛ドリアンと申します。

やはり「ファミコン」ほどの名機に対する認識は正しくあらねば、

と思います。当時の開発秘話なんてのも、現在生きている当人たちでさえ

ある程度の脚色や美化が存在するものと思われます。ですから、わたした

ちは「本人からの伝聞」でさえ、必ずしも完璧な事実ではない。

と思って差し支えないと思います。

あとは「受け手」のわたしたちがどう結論付けるかだと思います。
by 牛ドリアン (2009-08-11 08:53) 

M_t

>山内社長が「この色がいい」ともちかけたからです

子供のころ、親戚の家が西宮方面にあったので1983年前後に幾度と西宮インター付近は通ったんですけど当時のDXアンテナの看板の色というか、看板の記憶すらありません。
何回も通った場所だけに、めちゃくちゃ気になります。
阪神高速神戸線の湊川‐柳原間にはDXの本社ビル看板があるんですけど、やはり同一じゃないでしょうね。
by M_t (2009-08-11 10:19) 

loderun

>kantakuさん
日経の「ファミコンはこうして生まれた」は非常に素晴らしい資料ですので是非とも全文に目を通されることをお勧めします。
また、ファミコンの本体色の件については、「山内社長の提案」→「結果的にアズキ色は低コストだった」という順番であったと僕は解釈しています。

MOTHERの主人公の名が、海外ファミコンのNESに由来するとの話は始めて聞きました。
ちなみに、北米ではFC版MOTHERは未発売です。ただしSFCのMOTHER2については、EarthBoundとの名でリリースされています。そして主人公のネスの綴りは"Nes"ではなく"Ness"です。

>牛ドリアンさん
はじめまして。牛ドリアンさんのblogは、M_tさんのところを通じて読ませていただいております。
「本人からの伝聞でさえ必ずしも完璧な事実ではない」とのご指摘は僕も全く同感です。理想を言えば、複数の信頼できるソースを基にクロスチェックできれば良いのですが、なかなかそうもいきませんからね。
ただ、今回取り上げたコピペについては、「FCの開発者は横井氏」との重大な事実誤認が含まれており、ハッキリ言ってお話にならない内容だと思います。

>M_tさん
おお~、言われてみればM_tさんのご近所ですね。もしも当時のDXアンテナの看板を写した写真が残っているのであれば、非常にメモリアルな資料になりそうです(笑)
by loderun (2009-08-11 19:23) 

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