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偏愛ゲーマー的書評 「迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?」 [レビュー]

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル? (GA文庫)

  • 作者: 林 亮介
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2008/11/15
  • メディア: 文庫
 突如京都を襲った大地震。それをきっかけに口を開いた大迷宮からは怪物たちがあふれ出し、政府は志願者に迷宮の探索を委ねた。
 怪物を倒して利益を得る、現代のゴールドラッシュ。そのリスクは死亡率14%といった数字になって志願者のもとに返ってくる。
 京都・迷宮街。今日もここで様々なドラマが幕を開ける。命を預けるメンバーは、たとえば恐ろしく綺麗な双子の少女。人は様々な思いを抱きながら、今日も迷宮に降りる――。


『和風Wizardry純情派』が商業出版で再生・『迷宮街クロニクル』 (from NGM+その他の欲望)
和風Wizardry純情派 (from Internet Archive Wayback Machine)

msrkbさんの日記で興味を持ち購入。
元々は、はてなダイアリーで連載されていたWEB小説。「和風Wizardry純情派」との原題が示す通り、「Wizardry1 狂王の試練場」にインスパイアされた二次創作作品です。
(現在、元のblogから原文は削除されていますが、Internet Archiveで過去ログを読むことができます)

物語の舞台は現代の日本。
突如京都に出現した大迷宮と、未知の世界に挑む若者達の悲喜交々を綴った青春群像劇です。

もっとも、Wizardryを下敷きにしているとはいえ、原作との相違点は非常に多い。
まず作者さんが仰っているように、「善悪による職業制限、蘇生、リセット」が廃止されています。その他にも、職業にビショップやロードが無いとか、武器防具の性能差や呪文の詠唱などのルールが変更されているとか、最終ボスの存在(要するにワードナーね)が明らかにされていないだとか、かなり毛色が異なります。
「Wizと違うけど、Wizを知らないと楽しめない」という、実にファンの心をくすぐられる設定なんですよね。

そもそも上に書いた通り、この「迷宮街クロニクル」はヒロイックファンタジーというよりも、青春群像劇と呼ぶべき内容です。「隣り合わせの灰と青春」のように、侍にクラスチェンジしたばかりのキャラがいきなり10階で戦うとかの無茶な展開を期待してはいけません(笑)。
古典RPGの世界観をベースに、“明日をも知れぬ探索者達”が織り成す人間模様を楽しむ作品ですので、そのあたりは実際に書店で軽く目を通してから購入するかどうか判断すると良いでしょう。少なくとも、僕は読んでいて非常に楽しかったです。

ただし個人的には次の二点を不満に思いました。
まず、無駄に修辞が多いこと。好みの問題かもしれませんが、なんか僕にはピンポイントで読みにくい文章です。
第二に、魔物に対して銃火器が有効であるにもかかわらず探索者に使用が許されて無いあたりに釈然としないものを感じます。いちおう、「ここは日本だから」という理屈が示されていますが、もう一声うまいエクスキューズが欲しかったかな。

ともあれこの「迷宮街クロニクル」は、この後も中巻と下巻が刊行される予定です。もしもこのまま元のblogに掲載された通り、4階直通のエレベータを設置するまでで話が終わってしまうとしたら非常に残念。せめてバンパイアロードぐらいは顔見せして欲しいなあ。
あと、「マピロ・マハマ・ディロマット」おじさんの出番は?(笑)
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コメント 2

柾木神威

>「Wizardry1 狂王の試練場」にインスパイアされた二次創作作品です。
・・・え、平安京エイリアンじゃないんですか?
冒頭の文からはそうとしか・・・。(笑)
by 柾木神威 (2008-12-01 00:40) 

loderun

>平安京エイリアン
その発想は無かった!でも、穴掘ってエイリアン埋めるゲームを小説化って、かなり地味なストーリーになりそうですね(笑)
by loderun (2008-12-03 11:57) 

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