SSブログ

「メガンテ」はスクウェア・エニックスの登録商標です [レビュー]

最近、すっかり当blogの持ちネタの一つになってしまった感じの登録商標にまつわる話題。
文章を書いている僕が言うのもなんですが、こんなマニアックなネタに反応してくれる方が多くて驚いています。
いや、実際特許電子図書館って、色々と面白いことがわかりますよ~。皆さんも気になる言葉を思いついたら、是非とも検索してみてください。

というわけで本日のエントリーでは特許電子図書館の商標公報DBで見ることのできる、ビデオゲーム関係の意外な登録商標をご紹介します。「全部知ってたよ!」という方はかなりのゲーム商標マニア、かも!?





登録番号1692034号の「三国志」商標。出願人はなんとバンダイです。
三国志を題材にしたゲームとしては、コーエーの歴史SLG「三國志」シリーズがあまりに有名です。そして、コーエーはPCゲームの区分で「三國志」を商標登録しています。
しかし、家庭用ゲームの区分においては、上記のバンダイの登録商標が先に存在しました。

登録商標には、「同一または類似する区分において、権利者以外が同一または類似する商標を使用する事はできない」とのルールがあります。
そのため、コーエーは家庭用ゲームの区分で「三國志」を商標登録する事ができません。法的には、コーエーの家庭用版「三國志」がバンダイの商標権を侵害していることを意味します。

しかし皆さんもご存知の通り、FC版からPSP版に至るまでの20年近くも「三國志」シリーズは家庭用ゲーム機で販売されつづけています。どうやら商標の使用については、バンダイとコーエーとの間でなんらかの合意が結ばれているようです。
PS3『ガンダム無双』で異色コラボレーションを実現した両社ですが、実は昔から良好な関係を築いていたのかもしれませんね。





登録番号2076281号。
ナムコの源平討魔伝?いやいや、よく見てください。

「源平魔伝」なんです!

ナムコがこの商標を出願したのは86年1月。そして、実際に「源平討魔伝」がアーケードに登場したのは86年10月頃と聞きます。
どうやら「源平討魔伝」とのタイトル名は、企画・開発段階では「源平倒魔伝」と表記されていたようですね。

ちなみにナムコはその後、「源平討魔伝」で改めて商標を登録し直しています。だったら、この「倒魔伝」はもう用済みかと思うんですが、いちおう今でも放棄されずに商標権は存続しています。





登録番号2408845号。
メガンテ!「ドラゴンクエスト」シリーズのファンの方にとっては、あまり聞きたくない呪文かとおもいますが、何故か商標登録済みです。
この他にもエニックス(当時)が申請したドラクエがらみの登録商標としては、「勇者」、「パルプンテ」、「格闘技場」、果ては「キングレオ」や「デスパレス」などが存在します。
いや、確かに自社商品に関連した言葉を法的に保護するのは悪い事ではないです。だけど、「メガンテ」なんて他の誰が使うんだよ?(笑)

(07/10/23 追記)「メガンテ」、「格闘技場」、「パルプンテ」、「キングレオ」、「デスパレス」については、同名のカードゲームが存在するとの指摘を受けました。情報ありがとうございます。





登録番号3027266号。
一方、こちらはスクウェア(現スクウェア・エニックス )が誇る人気RPG「ファイナルファンタジー」シリーズより。
何故か魔法がらみの言葉では、唯一「ケアル」が商標登録されています。しかも玩具のみならず、食品や化粧品の区分でも。
なんでだろ?実はスクウェアは、食品業界にも進出しようとしていたのか!?(たぶん違います)





登録番号2070885号(業務用ゲーム)、および2070886号(家庭用ゲーム)。
カプコンの「ロストワールド」が、「フォゴットンワールド」へと改名された理由がこれ。実は元々、ナムコが商標登録していました。
公告日は昭和63年(1988)1月。アーケード版「ロストワールド」のリリースも同年ですので、おそらくカプコンは商標公告されていたことを知らなかったのだと思います。

ところで、ナムコが「LOSTWORLD」との商標を登録した理由は何だったのでしょう?

実際、ナムコが80年代に発売したゲームの中には、同名の作品は存在しません。しかし、「LOSTWORLD」=「失われた太古の世界」という意味合いからすると、もしかしたら「ドラゴンスピリット」の企画名だったのかもしれないと僕は考えます。
上の「源平倒魔伝」もそうですが、当時のナムコは「企画・開発段階のタイトル名でも、とりあえず商標登録を済ませておく」との方針を徹底していたようです。

もちろん、訴訟リスクを考えるとナムコの行為は全く正しい。
しかし結果的にではありますが、カプコンが最初に発表した「ロストワールド」とのゲーム名は失われてしまいました。同作品のファンである僕としては非常に残念に思います。

ちなみに、この「LOSTWORLD」商標は、現在では米ユニバーサル映画傘下の企業が権利者です。これは、映画「ロストワールド ジュラシックパーク2」製作に伴い、商標権を買い取ったものと思われます。


(関連記事)
RPGはバンダイの登録商標ではありません
『グラディウス』の情報は、企画段階でナムコに漏出していた?
「ファミコン」商標は誰のものか?


nice!(7)  コメント(13)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ゲーム

nice! 7

コメント 13

rio

面白いですね。「喫茶メガンテ」とかいうお店がないのはそういうわけだったんですね(ちょっと違う?)。「勇者」みたいな一般用語も登録できるんですね。驚きです。
by rio (2007-10-23 06:50) 

おこじょ

ああ、「メガンテ」「格闘技場」「パルプンテ」「キングレオ」「デスパレス」はドラクエをモチーフにしたカードゲームの名称ですね(DQ4がファミコンで出た頃のお話です…)
…まあ、中身はトランプの何かをドラクエキャラや呪文や世界観で焼きなおした感じのものですが

メガンテはドラクエの敵キャラのいわゆる得点つき(合わせた絵柄で獲得ゴールド=得点が違う)のフツーの神経巣弱なんですが
うっかりばくだんいわを引くと場がシャッフルされます
せっかく覚えていた配置も全部パーで自分で引くとまさに自爆

パルプンテはHP制のカードゲームで、手持ちの攻撃カードや呪文カードで他プレイヤーのHPを削ったりホイミのカードで自分のHPを回復したりして生き残った人が勝ちです
イベントカード的に「パルプンテ」があり、これを出すと別添の「パルプンテカード」を1枚引いてそれの指示に従います
全員のHPが回復したりプレイ順番が逆回りになったりいろいろ起こります
by おこじょ (2007-10-23 09:43) 

loderun

>>rioさん
nice!ありがとうございました。
ええと、説明がわかりにくかったかもしれませんが、商標登録は“商品や役務(サービス)の区分ごと”に申請されます。上のメガンテは“玩具”の区分で登録されていますので、喫茶店の名前にするのはアリです。

>>おこじょさん
詳細な解説ありがとうございました。カードゲームの名前とは、完全に盲点でしたね。記事に追加させて頂きます。
by loderun (2007-10-23 10:57) 

のりごん

面白いです。
「メガンテ」が商標登録していたなんて知りませんでした。
でも、たしかにとっとかないと
いざ使おうにも使えなくなりますかねぇ。
でも、おこじょさんの言われていた
「カードゲーム」・・・存在すら忘れていました。
by のりごん (2007-10-23 12:24) 

kasokage

「ポーション」が製品化されましたからね。
男性化粧品「ケアル」~気分すっきりリフレッシュ~ミストタイプとジェルタイプ......が発売されるのも時間の問題か(笑)
by kasokage (2007-10-23 12:59) 

浮動明王

「ぱろぷんて」という名前のピンクサロンが西川口にあります。
以上
by 浮動明王 (2007-10-23 19:18) 

YUH

「三国志」については、コーエーがファミコン版三國志を発売するとき、任天堂が仲介になってバンダイと交渉し、許諾を得た、という話を聞きました。

ちなみに、それ以来両者は仲がよく、他数社と協力してコンピューター関連の協会などを立ち上げたりしているそうです。デジタルメディア協会なんかが代表で、バンダイ会長が立ち上げ&現協会長はコーエー会長、てな具合で、相互に協力しつづけてます。ゲームに限らず、デジタル関連の業界発展に裏から貢献してきた組織ですね。

ガンダム無双ではそれが商売にも及んだ、ということなんでしょうね。
by YUH (2007-10-24 00:01) 

ゆーべ

カードゲーム懐かしいww
あとは銀のタロットっていうのもあったような。
by ゆーべ (2007-10-24 02:20) 

loderun

>>のりごんさん
nice!ありがとうございます。
実はメガンテを紹介した理由は、「同じ魔法ネタのケアルと並べたら面白いかな?」との単純な動機からなんですが、結果的に一番ウケてるみたいです。

>>kasokageさん
マジレスすると、ケアルに関しては登録した理由が謎ですね。ただしCARELとの言葉は、ヨーロッパ系の地名や人名に実在するようです。もしかすると、防護的な意図があるのかもしれません。

>>浮動明王さん
リアルでぱふぱふできるわけですね(笑)

>>YUHさん
お~、具体的な解説ありがとうございました。
任天堂が仲介していたとは、非常に興味深い話ですね。そうなると、ナムコの「三国志 中原の覇者」もバンダイの承諾を得ていたか気になるところです。

>>ゆーべさん
むむ、DQカードゲームってやっぱり有名だったんですね。しまったなぁ、もっとよく調べておけばよかった(笑)
by loderun (2007-10-24 10:09) 

NO NAME

>ドラゴンスピリット
ビデオゲームグラフィティ Vol.2の発売日が1987年10月21日ですから、「LOSTWORLD」=「ドラゴンスピリットの企画名」説は、ちょっと厳しい気もします(;´∀`)
by NO NAME (2007-11-01 03:02) 

loderun

公告を見ての通り、「LOSTWORLD」商標の出願日は86年3月28日。ドラゴンスピリットのリリース以前となりますね。
当時は、出願から登録までに2~3年ほどの年月が必要でした。カプコンがナムコの商標権を侵害してしまったのは、この時間差が一因と言えます。
by loderun (2007-11-01 11:13) 

蜂の巣

ケアルって登録されてるのはCARELですけど外国版のゲームでのスペルはCUREだったと思います・・・・いや、だからってどうって事はないですけど。
っつかそもそもケアルの語源は何なんだろ、CUREじゃケアルよりキュアだと思うし・・・
by 蜂の巣 (2008-07-16 15:26) 

loderun

推測ですが、ケアルの語源は英語のcare(世話)が由来だと思います。日本でケアは、「治療」というニュアンスで使われることが多々ありますが、これは和製英語的な誤用です。また、Carelはオランダ系の人名に存在するようです。(読みはカレル)
以上の理由から、海外ではcureに変更されたのではないでしょうか。
by loderun (2008-07-16 19:25) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。