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【洋書レビュー】 The Encyclopedia of Game Machines [レトロゲーム]


2005年に出版された洋書、『The Encyclopedia of Game Machines』です。
マグナボックス社のオデッセイ(72年)からソニーのPSP(04年)に至るまでの、主要な据置ゲーム機や携帯ゲーム機、ホームコンピュータを網羅した一冊です。

英語で書かれたゲーム関係の本は、どうしてもアメリカに偏重したものが多く見られます。
しかし、この本の著者のWinnie Forster氏は、ドイツのゲーム雑誌『PowerPlay』の編集者を務められた方だそうです。そのため、Sinclair SpectrumやAmstrad CPCなどイギリスで人気を博したホームコンピュータは言うに及ばず、ドイツのVC 4000やオランダのPhilips CD-iなど欧州産ゲーム機も大きく取りあげられています。

さらに驚いたのは、我らが日本産ハードの扱いです。
ファミコンやメガドライブが紹介されているのは当然なんですが、海外名のNESやGenesisではなく日本名で記されておりポイント高し。PC-Engineの項でも、LTやGTといった珍品たちが写真付きで紹介されています。
さらにホームコンピュータに至っては、NECのPC-8001、シャープのMZシリーズにX68000、富士通のFMシリーズ(マーティーもあるよ)、果てはトミーのぴゅう太やソード社のM5にまで言及されており、度肝を抜きました。
ドイツ人のくせにスゲェ!(笑)

もちろん、当blogでもおなじみのアタリVCSにコレコ社のコレコビジョン、マテル社のインテリビジョン、さらにApple IIやCommodore 64、TI99などアメリカの代表的なゲーム機やホームコンピュータたちも掲載。
まさに、Encyclopedia(百科事典)の名に相応しい内容です。

というわけで、百聞は一見に如かず!以下に、僕の独断と偏見で選んだ本書の見どころをピックアップしました。




エンテックス社のアドヴェンチャービジョン。
82年にアメリカで発売された、赤色LED液晶一体型のゲーム機。わずか5万台しか販売されなかったとされます。
一度でいいから実機を拝んでみたいものですね。





みんな大好きMSX。ソニーのHB-55です。
んで上の画像では読めないと思いますが、「HitBitはソニー初のゲーム機だった」との解説文が添えられています。
…いや、MSXはゲーム機じゃないってば!パソコンだってば、いちおう!





シャープのX1のページより。PCエンジン一体型のX1 Twinの写真…はどうでもいいです。

なんでドイツ人が『聖女伝説』を知ってるんだよ!(笑)





アタリファンにはお馴染み?ジャガー対応機器としてアナウンスされた3Dグラスです。
当然のように発売されることは無かったんですが、やはりヘッドマウントディスプレイって一度は憧れますよね。絶対、目と首が疲れそうだけど。





なにこれ?知らないよ、こんなの!(笑)
解説によればこのスーパービジョンは、91年に発売された台湾産携帯ゲーム機とのこと。
へ~、コピー機が幅を利かせている中華圏でも、オリジナルハードが存在したとは驚きです。





巻末には主要ハードのスペック一覧を掲載。
CPU、クロック数、グラフィックチップにサウンド構成、対応メディア等のデータがまとめられています。
こういう表って、ちょっと調べ物をする際に重宝するんですよね。


もちろん、この『The Encyclopedia of Game Machines』は、世に出たすべてのゲーム機が紹介されているわけではありません。ゲーム内臓タイプは元から除外されていますし、RCA社のStudio IIやエポック社のゲームポケコンといった超マイナーハードも抜け落ちています。
また当然のことながら本文はすべて英語なので、それなりの英語読解力が必要となります。

それでも尚、ビデオゲームに興味がある全ての方に対して、僕のこの『The Encyclopedia of Game Machines』をおすすめします。
これだけのハードが網羅された本は、少なくとも我が国では久しく存在しません。ページは全てフルカラーで写真も多いため、英語が不得意な人でも必ずや新しい発見や驚きを見つけることができる筈です。


The Encyclopedia of Game Machines: Consoles, Handhelds & Home Computers 1972–2005

The Encyclopedia of Game Machines: Consoles, Handhelds & Home Computers 1972–2005

  • 作者: Winnie Forster
  • 出版社/メーカー: Winnie Forster Gameplan
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: ペーパーバック

本書はAmazon.co.jpでも注文が可能です。到着まで少々時間がかかるかもしれませんが、秋の夜長のお供に是非ともどうぞ。


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コメント 2

Aya

参考文献にも資料にも使える良い本が来ましたね(笑)
by Aya (2007-10-15 09:13) 

loderun

いや、ホントおすすめですよ。
海外のWEBサイトに頼るのもいいんですが、やっぱり手許でパッと開ける本は便利です。
関係無いですが、聖女伝説のリンクを追加しました。年配の8-bit PCゲーマーの前でこのタイトルを挙げると非常に喜ばれますので、憶えておきましょう(笑)
by loderun (2007-10-15 10:06) 

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