沈めば人間、浮けば魔女 ― 『どきどき魔女神判!』感想 [レビュー]
○どきどき魔女神判!公式サイト
SNKがその社運を賭けて発売した、全世界のゲームファン待望の新作DSソフト『どきどき魔女神判!』(*注 一部虚偽が含まれています)。
秋葉原や日本橋のゲームショップで軒並み完売になったと伝えられる本作ですが、いざフタを開けてみると意外に正統派アドベンチャーゲームだったりします。
以下、ゲーム内容の紹介や実際にプレイした感想をいくつか。
このゲームは、3つのモードによって構成されています。
学校や町内を巡って魔女容疑者を調査する「探索モード」、魔法を駆使して容疑者と戦う「魔法バトルモード」、そして魔女の体にある“紋章”を見つけ出す「魔女チェックモード」です。
「探索モード」は旧来のADVと同様に、登場キャラと会話を繰り返してゲームを進めていくシステム。難解な謎やハマリは存在せず、誰でもすんなりとストーリーを辿ることができます。
また、クリア後の特典に影響する「逆パンダ探し」や、登場キャラの好感度を左右するサブイベントが用意されており、プレイヤーを飽きさせない仕掛けになっています。
「魔法バトルモード」はリアルタイム制の戦闘ゲーム。
敵の攻撃パターンに即した戦略性を問われることに加えて、時に素早いタッチペン操作が必要となります。このため、2周目以降でも程よい緊張感とともにプレイすることが可能。うん、これは意外に面白い。
一方、本作がネット上で注目を浴びた最大の理由である「魔女チェックモード」については、良くも悪くも想像通りといった印象。
確かに、初めて生で「ひゃあ!」を見たときの衝撃は相当のものでしたが、一度コツを掴んでしまうと後は作業的なプレイスタイルになってしまう。どうしても、退屈なフィーチャーに成り下がってしまうんですよね。
もっとも、マニュアルに「人間関係までゲームオーバーになる恐れがあります」と謳われているように、人前で「魔女チェックモード」をプレイする勇気は僕にはありません(笑)。
ところで、発売前はもっぱら「魔女チェックモード」の倫理的な危険性(笑)について語られることの多かった本作ですが、むしろ“製作者の暴走っぷり”を最も発揮しているのは探索モードです。
口を開けば下ネタしか言わないオヤジ天使、オカルマニアのクラス委員長、常にネオジオポケットを手放さないレゲーオタク、唐突に「堅いのと柔らかいのどっちが好き?」などと狂ったセリフを吐く女教師・・・。そのあまりにカオスな登場人物たちが織り成すストーリーには、不覚にも幾度となく声をあげて笑わせてもらいました。
こんなバカなテキストを恥ずかしげもくマスターROMに焼き付けた製作者の姿勢には、ただただ敬服です。
総評として、この『どきどき魔女神判!』は今時まっとうに作られたADVであり、同時に製作者の歪んだサービス精神を楽しむことができる快作であると思います。
従来の任天堂ハードにはありえないタイプのゲームを遊んでみたい方、新日本企画時代からのSNKファンの方、敢えて人前でプレイして「人間関係をゲームオーバー」にしてみたい方には是非ともおすすめです。
*注 以下、ゲーム内容のネタバレあり。今から『どきどき魔女神判!』を始められる方は、驚きを半減させることになるので見ない方がいいかもです。
あー、上の文章で「魔女チェックモードは退屈」とか書いていますが、それは全くのウソです。
ラスボス、エロすぎ(笑)
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