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20年目の邂逅 ― 「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」 (その2) [レトロゲーム]

(承前)

「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」 ― 初版発行昭和61年1月、著者ゲーム・アーツ/画ABE JAPON。
本書は平たく言えば、『ウィザードリィ』に登場するモンスターのデータ本だ。

前回にも書いたように、80年代前半は「ファンタジーRPG」というものが、コンピューターゲームを通じてようやく日本に広まり始めた時期であった。僕自身も、『ハイドライド』で初めて“コボルド”を知った程度の拙い知識しか無かった。

そんな時に出会ったのが、この「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」だ。
不確定名やHPなどの基本データ、簡潔ながらもモンスター達の特徴を的確に描写した解説文、そしてABE JAPON氏による(ちょっとクセはあるが)魅力的なイラストが素晴らしかった。
85年当時、『ウィザードリィ』を未だプレイしたことが無かった僕も、想像を大いにかきたてられたものだ。暇さえあれば、飽きることなく読み返した。

例えるなら、今の子供達が「ポケモン大百科」を読んで、まだ見ぬレアポケモン達に思いを巡らすように、僕は「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」を通してWizの世界を“体験”した気分になっていたのだ。
いつのまにか手元から無くなってしまっていたが、この本は僕にとって思い出深い一冊である。

そんな「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」の古本を、今回amazonのマーケットプレイスでオーダーしてみた。約20ぶりの“再会”だ。
注文して2日後には到着。早速、本を手に取り、ページをめくってみる。


懐かしい、全てが懐かしい。


以下、Wizの代表的なモンスターについて、ABE JAPON氏の素晴らしいイラストとともに紹介する。





●(左) オーク
RPGではおなじみのザコキャラ。とは言え、LEVEL1だと“当たり所”が悪ければ余裕で殺されたりする。個人的にはこのオークのイラスト、ズル賢そうな感じで好きです。
●(右) ドラゴンフライ
「dragonfly」とは元々英語でトンボのこと。ただし、本作ではブレスを吐く変なムシとして登場。
このイラストも初めて見た時はインパクトを感じましたね。 





●(左) 忍者
日本代表その1。「どうして、ダンジョンに忍者が?」と子供心に不思議に思いました。
首切りだけは勘弁な。
●(右) 侍
日本代表その2。旗本もおるでよ(何故か名古屋弁)
思えば『ウィザードリィ』は、アメリカ人の“間違った日本観”を初めて知ったゲームな気がします。イラストは胸の「大」の字がポイント。





●(左) ワーウルフ
ウォーでガンスな狼男(←古い)。
Wizに登場するワーウルフは、銀の弾丸が無くとも倒されてくれます。たぶん、地下なので月の光を浴びることができないからでしょう。
イラストの方は、顔のアップがなかなか強烈です。
●(右) ファイアージャイアント
炎のように赤い色の目と髪を持つ巨人。ファイアーと言っても、別に燃えている訳ではありません。使い勝手の悪そうな大剣が印象的。





●(左) マーフィーズゴースト
おなじみ、経験値稼ぎの素。実はこんな姿なんですよ!
解説にも、“ブルージーンズにTシャツを身に付けた、典型的なウェストコーストの小汚い大学生スタイル”とある。その元ネタは、製作者の大学時代の友人のPaul Murphy氏。
●(右) フラック
末弥純イラストしか知らない人は仰天必至(笑)
マーフィーズゴースト同様に、設定上はこちらが正解です。“TVレポーターの大部分の正体がこのフラックであるということは、公然の事実である”との解説文もスゴイ。






●(左) レッサーデーモン
おそらくプレイヤーが一番最初に出会うであろうデーモン族。イラストはなかなか強そうに見える。
●(右) グレーターデーモン
「MADALTO連発、魔法無効化、毒、麻痺、増殖」と高レベルキャラでも運が悪ければ全滅の危機に晒される要注意モンスター。その割りに、イラストはいまいち迫力を感じない。剣なんか持ってるけど、左利き?





●(左) ドラゴンゾンビ
ドラゴン、かつアンデッド系な強敵。ただし先制攻撃さえ食らわなければ、後はZILWANの効き次第。どうでもいいが、ここまで腐ってて何故ブレスが吐けるか不思議でならない。
●(右) ワードナー
ラスボス…なんだけど最終的には高レベルに育て上げられたプレイヤーキャラに何度も殺される非業の運命の人。
横断歩道を渡る老婆を見ると、なにやらムズムズしてくるらしい。常に「在室中」。



結局、僕が「狂王の試練場」をプレイすることが出来たのは、88年に発売されたMSX2版(ROM)であった。もちろん大いにハマったし、今でも“最高のコンピューターRPG”の一つであると信じている。

しかし20年前のあの頃、「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」を読んでいた時間は、その後実際にWizをプレイしている時よりも遥かに濃密で興奮的なものだった気がする。
ゲームに対する幼き頃の“憧れ”の念を思い起こさせてくれた本書に、改めて感謝したい。


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コメント 7

おーしゃん

ウホッ!懐かしい・・・。
ウチもRPGのモンスターといえば、ハイドライドでありウィザードリィでしたね。
そこからTRPGの世界に渡り、色々と(余計な)知識を身に付けてしまいました(笑)

ウィザードリィの書物といえば、ベニー松山氏の「隣り合わせの灰と青春」も捨てがたいですね。
そういえば、高校ん時に貸し出して帰ってきてないなぁ・・・コレ。('A`)
by おーしゃん (2005-12-24 23:41) 

loderun

こういう「ゲームの原体験」の話って、モロに世代がでますね(笑)
下手すると、最近の若いゲームファンなんか『ドラクエ』のロト三部作すらプレイしたことがなかったりしますし。
「隣り合わせの灰と青春」は当時読みました。マンガ版も結構好きでしたね。

僕も高校の時に貸したゲームで、帰ってきていないものがありますが、向うは忘れているだろうなぁ(笑)
by loderun (2005-12-25 15:51) 

MiLD_GiNGER

Wizは5から入ったインチキファンなボクですが、
身近でボクともう一人しかやっていなかったので
お互い情報交換しながらやっていました。
5ではまってその後その他のWizをやりました。
でもやはり思い出は5にありますね・・・。
キングオブRPGはやっぱりWizですなぁ。王道。
by MiLD_GiNGER (2005-12-26 20:39) 

loderun

逆に僕は、Wizの中期以降の作品は全くプレイしていないですね。
ただ、Wizに限らずシリーズ物って、「初めてプレイした作品」がやはり印象に残りやすいのも事実だと思います。
例えば、僕にとっての「悪魔城ドラキュラ」はFC版でもPCE版でもなく、MSX2版がベストだったりしますし。
つーわけで、5から入ったファンでも無問題ですよ。Wiz万歳!
by loderun (2005-12-26 22:41) 

G4

 通りすがりですが、ちょっと目にとまってしまいました。モンスターズマニュアル。

 私もプレイングマニュアルとモンスターズマニュアルを片手に夜な夜なダンジョンをさまよった口です。あまりに懐かしくまた熱い思い出です。
by G4 (2008-09-15 10:57) 

NORIMITSU

初めまして。
自分もこの本でWizを知り、妄想膨らませてWizにガチハマリしました。
懐かしいイラストが見れて嬉しかったです。
ありがとうございます!
by NORIMITSU (2010-03-22 22:26) 

loderun

5年前の記事にようこそ(笑)
いや本当に「ウィザードリィ・モンスターズマニュアル」は名著ですよね。Amazonのマーケットプレイスやネットオークションを利用すれば、今でも入手できますので是非とも手にとってご覧ください。
by loderun (2010-04-01 19:57) 

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