本日、シグルイ曜日 [日記・雑感]
山口貴由作『シグルイ』の第5巻と、連載誌のチャンピオンRED1月号を購入。
ここで唐突ですが、『シグルイ』を読む際にふさわしいドリンクは何か考えてみました。
僕の出した結論は、“血の色をした液体”。即ち、赤ワインこそ『シグルイ』にふさわしい飲み物であるとの新手を生み出しました。我ながらバカな発想だと思いますが。
という訳で、優雅にボジョレー・ヌーボを飲みながら(←本当に実行)、まずは第5巻を手に取る。連載を見逃していた回があったので、これでようやく話が繋がりました。それにしても、相変わらず虎眼先生はクレイジーだなぁ(笑)
次に、お待ちかねのチャンピオンRED1月号。
…大笑いしました。
この素晴らしさはとても口では説明できません。是非とも皆さんの目で確かめてみてください。
ところで話は前後しますが、『シグルイ』の原作である南條範夫著『駿河城御前試合』が再販されました。僕も直ちに購入しましたよ。
やはり誰もが気になるのは、シグルイの元となったエピソード1「無明逆流れ」かと思います。
以下、感想を記しますが少々ネタバレを含むのでご注意を。
■凄かった、何が凄いって虎眼先生がボケ老人でも怪物でもなく、極めて普通の剣豪だったことです。
指6本も、七町念仏も、“むーざんむーざん”も、生の鯉をバリバリ食べるのも、全ては山口先生の創作だったという事実!
■これは虎眼だけでなく伊良子も同様。
原作では“ちょっと好色が過ぎる剣士”といった感じで、間違っても「おぞましい何か」ではありません。
僕も伊良子については、「虎眼流を踏み台にして立身出世を企む野心家が、何故に師の愛妾に手を出したのか?」といまいち釈然としないものを感じていたのですが、これで納得がいきました。
■あと個人的に気になっていたのが、シグルイ第一話での「出場剣士十一組二十二名、敗北による死者八名、相打ちによる死者六名、射殺二名、生還六名、中二名重傷」 の文。
「射殺二名とは、いったいどのような状況なのか?それこそ、忠長に切りかかったバカとか居るのかなぁ」などと想像していました。
しかし僕の予想は、大きく外れていました。
結論を言うと、原作の登場剣士で射殺されたのは一名だけだったのです!
■上に挙げた事実だけでも、山口貴由先生が『シグルイ』で何を成そうとしているか、その片鱗を感じることができるかと思います。
最近、ネットで話題となった例の文章をもじって表現するなら、
「駿河城御前試合」にインスパイヤされて企画され、秋田書店と山口貴由が今回の連載にあたって新たなオリジナリティを加えて漫画化したもの ― それが『シグルイ』です。
これこそ、“インスパイヤ”の正しい在り方ですね。
そういえば、アサメグラフさんのシグルイ特集を見たのだけど、僕はいまいち面白いと思えませんでした。
これは掲載作品の出来が悪いと言うのではなく、単(ひとえ)に『シグルイ』自体がネタとして強烈過ぎる故に打ち勝つことが難しいからだと考えます。
どう見ても、“シグルイ版虎眼”は存在自体が反則です。
…でも、武装練金特集の時も笑えなかったんだよなぁ。ひょっとしてオレの笑いのツボの方が、他の人と違っているんだろうか?(苦笑)
やっぱり山口由貴という人物の作家性自体が強烈なんでしょうかねえ。
エピソード2つ目の「被虐の受太刀」なんかは是非とも山口由貴センセイに描いてもらいたいですよ、個人的には(勿論、山口バイアスかけまくりで)。
それにしても「甲賀忍法帖」といい「駿河城御前試合」といい、徳川忠長という人物の周りではいつも異様な殺し合いが発生しているような気がします。
by クエント (2005-11-29 18:17)
いちおう「一話以外もやる」と作者がアナウンスしていますからね。
原作を読まれたのでしたらご存知でしょうが、「被虐の受太刀」は最終章に繋がるエピソードですので期待したい所です。逆に「がま剣法」はシグルイで舟木道場を登場させてしまったので望み薄かも?
徳川忠長が伝奇小説で好まれるのは、実際に「乱行のかどで自刃」との史実が存在するからでしょう。要するにネタとして最高の素材なんですね。
よもや本人は、後年こんな扱いを受けるとは想像していなかったでしょうが(笑)
by loderun (2005-12-01 12:41)