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ゲームオタクは16万人? ― 野村総研の調査について [レビュー]

マニア消費者市場を新たに推計、04年は主要12分野で延べ172万人、4,110億円規模

10月6日付けで野村総研が発表した、いわゆる「オタク層」の市場規模の推計。Yahooニュースで取り上げられていたので、目にした方も多いのではないだろうか?

調査方法は、インターネットによるアンケート調査(2004年8月実施、10,003サンプル)。結果、2004年の12分野全体でオタク層の市場規模は延べ172万人、金額にして約4,110億円と報告している。

いちおう(?)ゲームに関するトピックをメインとしている当blogとしては、「ゲームマニアの市場規模」が気になるところ。今回の野村総研の推計では、「ゲームマニア」の消費者人口は16万人、金額にして210億円と報告している。
結論から言うと、僕個人としてはこの数字が現実に近いものであるとは思えない。

その辺りはswimieさんのblogでもコメントさせて頂いているが、詳しく反論してみたい。
第一に、今回の野村総研の調査はアンケートを元にしており、実際の各分野の売上金額の統計がどの程度考慮されているか不明瞭である。
例えば、7月に刊行されたCESAの2005年ゲーム白書によると、2004年の国内向け出荷は3446億円と報告している。尚、内訳としては国内ハード1088億円、国内ソフト2358億円となる。
(参考)
CESA、2004年メーカー出荷実績を発表――マーケットの縮小は止まった?
(from IT Media)

2004年と言えば、初回出荷で300万本を達成したドラクエVIII、ライト層にアピールした新携帯機DSの登場などあった。しかしそれらを差し引いても、ゲーム国内市場3446億円に対して「マニア層」が占めるのが210億円(わずか6%!)とは余りに少ない数字であるように思える。

その理由として、浜銀総研が今年4月に発表した「オタク」に関する統計 ― 2003年の「萌え」関連コンテンツ市場(PDFファイル)という報告を見てもらいたい。

この調査によれば、2003年の「萌え」関連市場は888億円。その内、ゲームが占めるのは460億円であると算出している。(調査方法はCESAの報告、およびメーカー発表のデータを元にしている)
ゲームの中から、さらに「萌え」という限定的なジャンルに絞った推計である。当然のことながら、「ゲームマニア」=「萌え」であるとは全く思わない。
しかし「オタク」を象徴する分野として考えると、「萌え」ゲーム市場が460億円との数字に対して、(年度は異なるものの)野村総研が提示した210億円は、やはり少なすぎる気がしてならない。

さらに言えば、今回の野村総研の調査は「マニア」層の対象となる分野として、「マンガ」や「アニメ」以外に、「自動車」、「旅行」、「ファッション」といった項目が見られる。
Wikipediaのおたくの項にもあるように、「オタク」とは“サブカルチャーを嗜好する人種”との認識が一般的かと思われる。そう考えると、「旅行」、「ファッション」と言った分野を「マニア市場」と位置づけるのは適当であるかどうか、はなはだ疑問だ。

今回の報告書によれば、オタクとは「強くこだわりを持っている分野に趣味や余暇として使える金銭または時間のほとんどすべてを費やし(消費特性)、かつ、特有の心理特性を有する生活者」 であると記されている。
しかし、本当にそれだけなのか?

「オタク」とは何者であるか?今回の調査からは、その辺りの「オタクに対する定義付け」があいまいであるように感じられるのである。

以上の理由から、野村総研の報告は、数値的な部分については僕は全く信頼していない。
また、今回の調査は統計の正確さよりも、市場分析に重点を置いている性格が色濃い。しかし、肝心の「マニア消費者」の定義にも、疑問が残る内容であると考える。

ただし、一つだけ面白く感じた点がある。
それは、オタク層に共通する行動・心理特性として、「共感欲求」「収集欲求」「顕示欲求」「自律欲求」「創作欲求」「帰属欲求」という6つの因子にまとめたこと。
そして6つの因子のバランスを元に、オタクを5タイプに類型化した点である。

詳しくは報告書内の参考資料、「図表1:オタク層の5つの類型とその割合」を参照してもらいたい。

一言で言うと「顕示欲求」と「創作欲求」が突出した、「タイプ5:同人女子系オタク」の孤高っぷりが素敵(笑)

女性比率が圧倒的に高く、20~30代が中心(いわゆる「アキバ系」「萌え系」オタクの男性も含まれる)。「創作欲求」が特に強く、同人誌などの創作活動への参加率が高い。支出金額が最も高く、趣味の期間が長いのも特徴。「コミックやアニメに登場するキャラクターへの固執が強く、友達に隠れて趣味を大人になってもひそかに続けている同人誌フリークの女性」が典型例。

どう考えても、この部分が「一般的なオタクのイメージ」だと思うのだが。


最後にどうでもいい話だが、実は僕には腐女子な妹がいます。男性キャラのコスプレはどうやら卒業したようだが、PCでのイラスト書きに毎日励んでいる模様(苦笑)


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コメント 5

おーしゃん

まぁ、オタクの生態を理解しようとしても出来るはずも無しなわけで。
こういう事から考えても、オタクって未だに市民権を得ていないんだなぁと思います。

>「図表1:オタク層の5つの類型とその割合」
貴方はどのオタク?ってチェッカーが作れそうですな。(笑)
ウチはどれだろう。(´・ω・`)

>実は僕には腐女子な妹がいます。
お義兄さんって呼んでええ?(マテ
by おーしゃん (2005-10-09 21:54) 

俺もオタクだと思うんですが、一体自分はどの傾向に当てはまるのかが非常に気になります(笑)。

つーかオタクってこんなに簡単に分類されていいんだろうか・・・。

最後に俺にはビジュアル系大好きゴスロリ趣味の妹がいますがなにか?(笑)
by (2005-10-10 00:25) 

Aya

僕はオタクじゃないっ!
・・・って言っても無駄だな('A`)

うちの妹は・・・ありゃどーなんだw
取り合えず籍に入ったから落ち着いていると思いたい・・・思いたいのに不安感がある怖さw
by Aya (2005-10-10 07:05) 

loderun

>>柾木神威さん
本件については「オタクの市民権」と言うよりも、単純にデータの扱い方に不明な点があります。報告書の図表3にもあるように、今回の報告は2004年の調査を再推計したものです。(http://www.nri.co.jp/news/2004/040824.html

これによれば、以前の結論ではゲームオタクの市場規模はのべ80万人、780億円となっています。つまり人数・金額ともに大幅に減っている訳で、「マニア」層をかなり限定してしまった模様。その辺りが、非常に疑問なのです。

あと僕の妹はあまり性格がよくないので、おすすめできないかな。って何マジレスしてるんだよ、オレ(笑)

>>ののおさん
統計処理の過程で、ある程度の単純化は仕方ないと思います。記事にも書いた通り、6つの因子による類型化は面白い考え方だと思いますし。
とりあえず、僕は「創作欲求」ゼロ、「収集欲求」は無限大かな。

>ビジュアル系大好きゴスロリ趣味の妹
でわ、うちの腐女子妹と交換しましょうか?(笑)

>>Ayaさん
一般人が、自宅にコントロールボックス持ってるはずがない(笑)
「三つ子の魂、百まで」との諺の通り、結婚してもマニアは直らないと思います。たぶん、僕もですが。
by loderun (2005-10-10 18:04) 

はりゅりゅ

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by はりゅりゅ (2007-03-18 11:55) 

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