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スペランカーを創った男達 [レトロゲーム]


VC スペランカー (from バーチャルコンソール公式ページ)
Spelunker screenshots (from MobyGames)

■『スペランカー』はアメリカのマイクロ・グラフィック・イメージ社が開発したアクションゲーム。83年にAtari400/800、84年にCommodore64で発売された。
「スペランカーはブローダーバンド社製のゲーム」との説明をよく見かけるがそれは正確ではない。Atari版、C64版ともに開発を行ったのはマイクロ・グラフィック・イメージである。


■マイクロ・グラフィック・イメージは、アタリVCSのサードパーティーであったアポロ社(82年末に倒産)の元プログラマーたちによって83年に設立された。

■『スペランカー』の開発には、三人の人物が関わっている。
Tim Martin ・・・ オリジナルアイデアを考案。ゲームロジックを担当。
Robert Barber ・・・ グラフィックデザイン、レベルエディター(ゲームの舞台となる洞窟のデザイン)を担当。
Cash Foley ・・・ グラフィックエンジンの開発、ゲームレベルエディター(難易度の調整)を担当。


■TimとRobert は、元々アポロ社でアタリVCS用ゲームを専門としていた。また、CashはAtari400/800用ゲームのプログラマーを務めていた。
当初、TimとRobertは『スペランカー』をアタリVCS向けにデザインしていた。しかし、それはスペック的に"高望み"な考えであった。そのため、 Cashを加えた3人でAtari400/800用ゲームとして開発することにした。


■83年当時のアメリカでは、コンピュータゲームに製作者の名前を冠するのが一般的であった。
初期のゲームは開発規模が小さかったために、一人の人間によって作られることが多かった。つまり、製作者の「名前」を売ることが営業的に極めて重要だったのだ。
『スペランカー』は三人の人物が関わっているが、上記の理由からオリジナルアイデアを考えたTim Martinの名をクレジットに掲げることにした。


■残念ながら、Atari400/800版『スペランカー』の売上は低迷の一途を辿った。
82年末より始まったアメリカのビデオゲーム不況(いわゆるアタリショック)は、家庭用機のみならずPCゲーム市場にも影響を及ぼしたからだ。マイクロ・グラフィック・イメージのような弱小メーカーの製品を扱ってくれる販売業者は居なかったのである。


■1984年、マイクロ・グラフィック・イメージはブローダーバンドに『スペランカー』のライセンスを許諾。
Atari400/800版『スペランカー』をブローダーバンドの下で再販するとともに、Commodore64への移植を担当した。


■結局、マイクロ・グラフィック・イメージは84年に自主的に活動を停止(倒産ではない)。 『スペランカー』は、同社が発売した唯一のタイトルとなった。
ただしTim Martinとブローダーバンドとの間の業務関係は、その後も継続された。ファミコン版やアーケード版の『スペランカー』のタイトル画面に、彼の名前が記されているのはそのためである。




以上、我が国では85年にファミコンで発売された『スペランカー』の生い立ちについてまとめてみました。
説明するまでもなく本作は、"虚弱体質の主人公"だとか"伝説のクソゲー"といった文脈で、おもしろおかしく紹介されることが圧倒的に多いです。
しかしそれだけが、『スペランカー』の真の姿ではありません。

製作者のTim Martinとはどのような人物か?
そして、マイクロ・グラフィック・イメージ社とは?

幸運なことに、今年の1月に元マイクロ・グラフィック・イメージのプログラマーCash Foleyが、自身のblogでこれらの疑問に答えています。
知られざる『スペランカー』誕生の経緯は、いかがだったでしょうか?

あ、ちなみにオリジナル版『スペランカー』の落下判定は、ファミコン版ほどシビアじゃないそうです。
つまり、本作が"伝説"と化した原因の8割くらいは、移植を担当したアイレムの仕業ということになりますね(笑)


(参考リンク)
Spelunker review by Brian Bagnall (from Lemon)
The notso Spectacular Rise and Fall of MicroGraphicImage
*必見!『スペランカー』開発者の一人、Cash Foleyによるマイクロ・グラフィック・イメージ社の解説。

(参考文献)
○『Phoenix: The Fall & Rise of Videogames』 Leonard Herman


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(08/4/30) 本文一部訂正
タグ:ゲーム
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コメント 8

koudai

面白そうですね。今できないので今度どこかでやりたいです。
by koudai (2008-04-30 00:15) 

ナオヤ

懐かしいです♪
ファミコンでよくやってました。
by ナオヤ (2008-04-30 11:48) 

NO NAME

FC版の開発はアイレムじゃなくて伝説の下請け会社のあそこだったりします。
by NO NAME (2008-05-01 12:20) 

ソウゾウドウ

はじめまして。
いきなりですが、
スペランカーが無敵になる『ウソ技』知ってますか?
それを学研が『本物の裏技』として紹介してしまった事件が
あったんです。
もし良かったら私のブログも見てください。
by ソウゾウドウ (2008-05-01 21:13) 

loderun

>koudaiさん
nice!ありがとうございます。
コメントから察するに。スペランカーは未プレイでしょうか?えーと、がんばってください(笑)

>ナオヤさん
nice!ありがとうございます。
いちおうMSXでも発売されてますが、やはりファミコン版をプレイした方が圧倒的に多いんでしょうね。機会があれば、是非とも再挑戦してみてください。

>>伝説の下請け会社
トーセですね。別に会社名を伏せる必要はないと思います。
ただ、信頼できるソースがないため、どの程度開発に関わったのか不明ですね。

>ソウゾウドウさん
はじめまして。ファミマガのウソ技にだまされた同業者の噂は聞いたことがありましたが、それが学研だったとは初耳です。
貴重な情報ありがとうございました。
by loderun (2008-05-02 09:50) 

rouxchan

友人宅でスペランカーで遊びましたが
本当に判定がきびしかったです。
その分やりこんでしまうと言う不思議な魅力のあるゲームでしたw
by rouxchan (2008-05-02 23:54) 

柾木神威

記事とはあんま関係ないですが、海外製品ではなく日本製品と思ってた人が多数の様で・・・。

知ってる方が逆に異端なのかと心配になりました。(笑)
by 柾木神威 (2008-05-03 21:27) 

loderun

>rouxchanさん
nice!ありがとうございます。
上の記事では説明しませんでしたが、83年って一画面のゲームがまだまだ多かった時期です。『スペランカー』の起伏に富んだ洞窟のデザインは、当時としては画期的だったんですね。
アクションと探索性を兼ねそろえている点が、このゲームの魅力なんじゃないかと個人的には思っています。

>柾木さん
いや、それ僕も同感です。「ブローダーバンド製じゃなかったんだ!」との反応は予想していたのですが、まさか日本のゲームだと思っている人がこれほど多いとは…。
やはり、FC版のおかげで「スペランカー=アイレム」の印象が強いのでしょうね。
by loderun (2008-05-04 20:35) 

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