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アラモゴードの『E.T.』発掘ニュースについて [レビュー]

Success! Atari E.T. games found in New Mexico dump (CNET)
Long-Buried E.T. Cartridges Unearthed at New Mexico Landfill (Xbox Wire)

都市伝説は本当だった、ニューメキシコ州の「Atariの墓」から最悪のクソゲー『E.T.』カートリッジが発掘される (Game*Spark)
伝説は本当だった!アラモゴード市の埋立地発掘作業からAtari 2600版「E.T.」のカートリッジが出土 (doope!)



epic_day.jpg既にご存知の方も多いと思いますが、「E.T.の埋葬地」として知られる米国ニューメキシコ州アラモゴードの処分場の発掘作業が、4月26日に行われました。これは、マイクロソフトがXbox向けに制作しているドキュメンタリー番組の一環であり、希望者は誰でも見学可能とあって、現地では大きな盛り上がりを見せたようです。

結果は、上に挙げたニュース記事の通り、見事に埋め立てられていたVCS対応ゲームソフトの『E.T.』を発見。この『E.T.』は、いわゆるアタリショックと呼ばれる83年の家庭用ゲーム市場崩壊を象徴するタイトルとしてあまりにも有名です。その末路が、実に30年以上もの時を越えて、再び我々の目の前に現れたと言えます。


ただし今回の件について、国内のニュースサイトが揃いも揃って「伝説は本当だった」という記事タイトルを付けている点には、一言断りを述べさせていただきたいところです。

現在、世間一般で流布しているアラモゴードの埋葬伝説とは、おおまかに言うと次の三点を挙げることができるかと思います。

(1) 1983年9月、テキサス州のアタリ社エルパソ工場より運びだされたビデオゲーム製品が、ニューメキシコ州アラモゴードの処分場に埋め立てられた。
(2) 埋め立てられたビデオゲーム製品は、数百万本にもおよぶゲームソフトの『E.T.』であった。
(3) 盗掘を防ぐために、ビデオゲーム製品はスチームローラーで粉砕された上で、埋葬地点はコンクリートで固められた。


(1)に関しては、当時のアタリ社自身も認めており、従来から疑う者はいませんでした。(3)については後述します。
問題なのは(2)です。

繰り返しになりますが、アラモゴードに大量のビデオゲーム製品が埋め立てられたのは事実です。また、その中に『E.T.』が含まれていたことは間違いないであろうというのは、近年ではアメリカのVCSフリークの間で定説となっていました。(現に今回のCNETの記事でも、83年当時に処分場から『E.T.』のROM基板を拾ったとする地元住民の証言が紹介されています)

すなわち、アラモゴードの一件を、センセーショナルな伝説として広く知らしめている理由は、「数百万本の『E.T.』」という、その数量的な大きさに集約されると言えます。

確かに、アタリVCS対応ソフト『E.T.』は、高額なライセンス料と過大な販売予測に基づき、500万本が製造されました。しかも、その販売本数は150万本程度にとどまり、残りの350万本は不良在庫と化したと伝えられます。
しかし今回の発掘結果は、あくまで埋葬品の中に『E.T.』が含まれていたことが実証されただけです。伝説の最も重要な部分である、「数百万本もの『E.T.』が埋め立てられた」ことが明らかにされたわけではありません。このことは、くれぐれも誤解なきようにと強調させていただきます。
(ちなみに、今回の発掘では『E.T.』の他にも、『フェニックス』『センチピード』などのVCSソフトが発見されています。複数のゲームタイトルが廃棄されていたという事実だけでも、旧来の「伝説」から受ける印象とかなり違うのではないでしょうか?)

そういうわけで僕個人としては、『E.T.』が実際に処分場から発掘されたとの報告それ自体は、特に驚くべき話ではないという感想です。


ところで、今回の発掘された『E.T.』ですが、写真を見る限りパッケージ部分はダメージを受けているものの、かなり状態が良いと思われた方は多いのではないでしょうか。僕自身も、上の(3)に挙げたように、埋め立てられた廃棄製品はその多くが粉砕処理され、原型を留めていないのではないかと考えていました。
この件について、 AtariAgeのフォーラムに興味深い投稿を見つけました。投稿者はアラモゴード処分場の近隣に住んでおり、今回の発掘イベントにてドキュメンタリー番組の監督を務めるZak Penn氏と直接会話をしたそうです。主な内容は次の通り。

■スタッフは、発掘に先立つニ日ほど前から現地調査を行っていた。
■理由は、ゲーム製品が最初に埋められた地点を特定するためである。その地点は、警備員の見張り以外に保安措置が行われていなかったからだ。当時、ゲーム製品の埋め立てが報道で知れ渡って以降の場所は、コンクリートで固められてしまった。
■スタッフはまずコンクリートで固められた場所を見つけた。そこで周辺を調査し、最初に埋められた地点に行き当たった。
■すなわち、コンクリートで固められた場所は、今回は発掘されていない。


なるほど、そのような経緯であったのかと納得しました。
そして、コンクリートで固められた場所は、いまだ手付かずで残っているわけです。どれほどの『E.T.』が埋め立てられたのかを全て確認するのは、極めて困難な作業となりそうですね。


(関連記事)
アタリVCS『E.T.』の埋葬は無かったんだ論

(写真の出典)
Elan Lee (elanlee) on Twitter
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