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ニコニコ動画「ゲームグラフィックTV」について [日記・雑感]

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フリーダムキングダム作品集 ‐ ニコニコ動画(原宿)
日々是遊戯:完全個人製作のゲーム教養番組「ゲームグラフィックTV」がスゴい (ITmedia Gamez)

09年10月よりニコニコ動画上で公開されているビデオゲーム紹介番組。
僕は普段ニコ動を見ないため、つい先週に友人から勧められてようやく存在を知りました。
今更な話題かもしれませんが、主に8-bit/16-bit機の動画を視聴した上での感想を述べさせてもらいます。

まず140回以上に渡ってゲーム番組を製作されている情熱に対し、素直に拍手を贈らせていただきます。
家庭用ゲーム機に関してはファミコン、セガSG、メガドライブ、PCエンジン、スーパーファミコンは言うに及ばず、オデッセイ、チャンネルF、アタリVCS、インテリビジョン、コレコビジョンといった海外ハードを特集。Commodore64、ATARI800、ZX Spectrumなど我が国では馴染みが薄い海外PCまで取り上げられています。
さらに、赤色LEDディスプレイ一体型ゲーム機のアドヴェンチャービジョン、エポックゲームポケコン、学研TVボーイのようなマイナー機まで扱われているのは驚きました。

ゲーミングプラットフォームの歴史を俯瞰したオープニング映像は秀逸です。抑揚の効いた語り口も、番組の雰囲気によく合っていると思います。
1回あたり6分程度の短めな動画ながら、一つのテーマに絞ってビデオゲームの話題を取り上げていくという手法は、非常に感銘を受けました。

しかしそれらの長所を帳消しにしてしまう程に、このGGTVには事実誤認があまりにも多い!
資料としては主にWikipediaを参照されているようですが、古い知見に基づいた誤った説明をそのまま引用していたり、あるいは編者自身が曲解してしまった珍説が至るところで目につくのです。

例えばコレコビジョンを取り上げた第36回ですが、投稿コメントでも指摘されている通りコレコビジョンのVDPはTMS9928Aです。「コントローラにパドルが装備されている」との説明も不適切で、フラットトップ型のジョイスティックをパドルと誤認されているようです。

また、スペシャル第11回のバンゲリング帝国特集では、日本のケイブンシャが創作した独自ストーリーを、あたかもブローダーバンドの公式設定であったかのように紹介されています。
この件に関しては、過去に当blogで検証していますのでそちらをご確認ください。
(関連記事) ○幻想のバンゲリング帝国

総じてこのGGTVは、(日本未発売のプラットフォームを筆頭に)かなり信頼性が低い印象を受けました。番組のコンセプトが素晴らしいだけに、尚のこと残念で仕方ないのです。

さて、実は一昨日のことなのですが、GGTVを製作されている"洗車の入"さんより連絡をいただきました。"洗車の入"さんと具体的にどのようなやりとりを交わしたかは、僕の方から申し上げません。ただ"洗車の入"さん自身、GGTVの内容に問題があることは既に重々承知されておりました。

人間誰しも間違えることはあります。僕自身、blogの記述を公開後に訂正したことなんて数知れません。そして繰り返しになりますが、"洗車の入"さんがビデオゲームに対して並々ならぬ情熱を持ってこのGGTVを製作されてきたことは、よく理解できます。
僕としては、GGTVの今後の展開を見守りつつ、より一層の内容の充実を期待させていただきます



最後になりましたが一点だけ。
2010年10月に公開された、GGTV第一回リメイクについて指摘させていただきます。

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ゲームグラフィックTV第一回リメイク

(原文)
さて、ファミリーコンピュータの愛称である「ファミコン」の起源をご存知であろうか。シャープが「ファミコン」という名の電子レンジを発売、それに伴い商標を出願。さらに、シャープがファミコンテレビC1を発売する際、商標を取得。それを任天堂が譲渡されたことで、世間一般に言われる「ファミコン」という愛称が登場したと言われる。

(反論)
シャープが任天堂に先んじて「ファミコン」商標を出願していた件については過去に当blogでも取り上げました。
(関連記事) ○「ファミコン」商標は誰のものか?

その経緯を簡単にまとめると次の通りです。

・83年7月15日 任天堂よりファミリーコンピュータが発売される。
・83年10月31日 シャープは娯楽用具の区分で「ファミコン」商標を出願。
・86年1月24日 娯楽用具の区分における「ファミコン」商標が登録される。
・即ち、シャープより任天堂へ「ファミコン」商標が譲渡されたのは86年1月24日以降。 

シャープより任天堂へ「ファミコン」商標が譲渡された正確な日付はわかりません。
しかし、GGTVの説明を上記の時系列にあてはめて解釈するのなら、任天堂が商標を取得する86年1月以降に「ファミコン」という愛称が登場したと主張されていることになります。これは明らかにおかしい。何か誤解されているのでしょうか?
何故なら「ファミコン」という言葉は、86年1月以前の新聞や雑誌ですでに数多く見出すことができるからです。コロコロコミックで「ファミコンロッキー」の連載が開始されたのも85年3月号でした。

おそらく、「ファミコン」という愛称に特定の起源は存在しません。任天堂がシャープより商標を譲りうけて「ファミコン」を公式に使用するよりも前から、世間一般では広く普及していたのです。

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  • 発売日: 2010/09
  • メディア: ペーパーバック

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スライダー飛竜

GGTVは何と言っても
「間違いを訂正した動画よりも、新作を挙げる事を優先する」
という駄目自分ルールが一番の問題だと思います(投コメに訂正文載せるだけでいいのに)

あともうひとつ気がかりが、ゲームの歴史を知りたいと言う若いゲームファンに誤情報を植えつけるのはなんとも言えませんね
今後も間違った情報が流れ続けてしまうのでしょうか・・・

by スライダー飛竜 (2010-11-27 02:29) 

qwerty

私も観てますコレ
事実誤認は多いですね、訂正もしないですし
まぁ、だいたいコメントでツッコミが入ってますけど

一番の問題点は、他所から情報を引っ張っていきておいて
何度か突っ込まれるまでその事をコメントしなかったことでしょうかね
それでも申し訳程度のもので、未だに出典元や引用元、転載元はしっかり表記してないですけど
文章までもをまるまる引っ張ってきてる所は転載元を表記すべきだと思うんですがねぇ
by qwerty (2010-11-27 13:50) 

ワンダーNONO

GGTVのコンセプト自体は評価できますが、脚本の間違いの多さと、
それら誤情報の指摘を無視し続け、新作の更新ペースを最優先という
体制なままなのは大いに疑問でした。

動画の上げ直しが面倒ならばコメント欄にでも
「この動画の脚本はネットから引用したものを独自解釈し構成しているので、
必ずしも史実的に正しいものではありません」とか、一言注釈を付けるだけでも
大分印象は変わると思うんですけどね。ここさえしっかり管理してれば
コンセプトや制作に於ける情熱自体は良いものなので非常に惜しいですね。
by ワンダーNONO (2010-12-13 04:12) 

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