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放課後スペランカー倶楽部 [レトロゲーム]

「新しいゲームを買ったんだけど、これがすごく面白いんだ」
「洞窟が舞台のゲームなんだけどね。とりあえず見に来いよ」



80年代に少年期を過ごした僕らの日常は、学校が終わった後に友人の家に集まってビデオゲームをプレイする ― そんな毎日の繰り返しだった。
僕自身はMSXユーザーだったこともあり、もっぱらMSXを持つ友人とつるんでいた。

もちろん一番人気はファミコンだった。
新しいゲームを買った者が居れば、とりあえず皆で集まってプレイしたものだ。

そんなある日のこと、ファミコンを持つ友人の一人が口にしたのが、冒頭に挙げたセリフだったのだ。

いや、彼だけでは無い。
既に「そのゲーム」のファンになった者が、クラスに2、3人ほど居た。そのメンバーで、毎日学校が終わった後に“洞窟探検”に励んでいると言うのだ。

興味を覚えた僕は早速その日、友人の家を訪ねた。


友人A:「カギの場所、どこだっけ?」

友人B:「爆弾を取り忘れるなよ」

友人A:「フラッシュ使わずに、このコウモリ避けられないかな?」

友人C:「あ、ゴースト来た」

一同:「やられた(笑)」

僕が友人宅を訪れた時、彼らは既に「そのゲーム」で盛り上がっていた。

僕が『スペランカー』と出会った瞬間だった。


『スペランカー』は元々、米国で83年にAtariの8bitコンピューター用にリリースされた。
翌年にはコモドール64にも移植されたが、やはりここまで有名になった理由は85年発売のファミコン版(アイレム)に負うところが大きいだろう。

「ゲーム史上、最も貧弱な主人公」 ― 誰が名付けたかは知らないが、『スペランカー』をよく言い表している言葉だ。

(例)
●身長の半分の高さから落ちると死ぬ

●コウモリのフンに当たって死ぬ

●下り坂でジャンプすると死ぬ

●見えない爆風にまきこまれて死ぬ

●アイテムでエネルギーを補給しないと死ぬ

などと、その「貧弱さ」はいまだに語り草となっている。

また、上記のような「ルールの厳しさ」に加えて、本作は極めて操作性が悪いことで知られる。

特に必須テクニックである、ツタからツタへと飛び移る際の「ジャンプボタン+方向キーを同時押し」の入力が難しいのだ。

なにしろ、操作性に対して比較的寛容なアメリカ人ですら、「insanely difficult(気違いじみた難しさ)」と音を上げるほどなのだから。


しかし、幼き頃の僕の友人たちは、実に楽しそうに、『スペランカー』をプレイしていた。
その理由は明らかだ。
友人たちは『スペランカー』の操作性や難易度を、“情熱”で克服していたのだ。

プレイヤーが「同時押し」を修得し、地底洞窟の構造を把握した時に初めて、この『スペランカー』は真価を発揮する。
実は典型的な、“プレイヤーを成長させる”タイプのゲームなのだ。

結局、僕自身は『スペランカー』を一面もクリアすることはできなかった。
だが、『スペランカー』をクソゲーだと思ったことは一度も無い。

そう言えば、「スペランカー部」を結成していた友人達とは久しく会ってないな。
彼らは今でも、『スペランカー』に注いでいたあの時の“情熱”を憶えているだろうか?


(関連リンク)
スペランカー (from Wikipedia)

ふる里4コマ小唄 (from Irem公式サイト
ご存知、『スペランカー』の日本での発売元。スペランカー先生を絶賛連載中

スペランカー講座 (from クソゲー処理概論)
ファミコン版の詳細なデータを掲載。256周まで到達した「スペランカー深域調査報告」は必見。 


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コメント 6

Aya

スペランカーの主人公には「病弱を通り越した貧弱さなんだったら冒険とか言う前にまず家に篭って鍛えろ!」という言葉がシックリきます(笑)
by Aya (2006-01-21 21:06) 

swimie

こんばんは。
僕もプレイしたことがありませんが、結構な数の
友達がこのゲームに挑戦していました。
そのときは特に難易度について、話題に
上らなかったのですが、近年その難易度を
取り上げられたのをみて、驚きました。
僕の友達たちも情熱で乗り越えていったんだなぁ。
きっと。
by swimie (2006-01-22 00:10) 

主人公の、「こわれもの注意」っぷりも最高ですが、
スペランカーは、OPの曲の妙なシリアス感がたまりません。
そして、その重たい曲とは対称的に、プレイを始めた時の音楽の軽快なこと。
さらにはカセットが赤く点灯する謎ギミック! ・・・・・・いいゲームですよねえ。
by (2006-01-22 21:13) 

tuduki

最近は“難易度設定? そんな軟弱なものに頼る前に体で覚えろ!”な熱いゲームはめっきり少なくなってしまいました。スペランカーはそんな熱いゲームの代表作ですね。凶悪な難易度を自分の腕でねじ伏せたときのあの快感がたまらないステキなゲームだと思います。
 里見の謎のようなバカゲーも大好きですが、スペランカーやデスクリムゾンのような凶悪な難易度を誇るゲームは今後も1年に一本ぐらいは出て欲しいものです。
by tuduki (2006-01-24 16:56) 

loderun

コメント遅くなりました。

>>Ayaさん
まあ、マリオさんだって『ドンキーコング』の頃は、段差から落ちると死んでましたし(笑)
ところでアーケード版はライフ制なので一発死は無いようですね。僕は未プレイですが一度見てみたいものです。

>>swimieさん
実はこの文章は、「“やさしいゲーム”なんかいらない?」の記事を意識して書いたものです。ゲームは情熱ですよ情熱、ラブ・アンド・パッション!と主張してみました(笑)
by loderun (2006-01-24 18:02) 

loderun

>>心臓さん
思うに、スペランカーは主人公が「人間」だった点も、不条理感を誘ったのだと思います。あれが「ガラスでできた生物」とかだったら納得したかも。謎なシチュエーションですが(笑)
あと、何故にアイレムがLEDランプを採用したかは僕も理解できません。

>>tudukiさん
『スペランカー』に関しては最大の難関は“キャラ操作の克服”であって、実はゲーム性は悪くないんですよね。
『里見』は未プレイですが、『デスクリムゾン』は明らかに“ゲーム”と呼ぶには異質なものを感じます(笑)
by loderun (2006-01-24 18:12) 

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