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続報・バンダイとナムコが経営統合へ [namco]

昨日の記事で取り上げた、ナムコとバンダイの経営統合のニュースは単なるゲーム業界の再編という枠を越えたものであり、一般紙でも大きく取り上げられている。

5月2日の16時には、バンダイとナムコ両社の首脳による経営統合説明会が開かれた。
この説明会のリポートを含め、各ニュースサイトの詳報が出揃ったようなのでまとめてみる。

プレスリリースについては、日経WEBに主要部分が掲載されている。こちらを読めば今回の経営統合の目論みはよくわかるだろう。
ナムコとバンダイ、9月29日に共同持株会社を設立

統合新会社は、バンダイの強みであるキャラクターマーチャンダイジングとナムコの強みであるゲームコンテンツとゲーム開発力、広範なアミューズメント施設網とを融合・相互補完し、エンターテインメント事業における相乗効果を発揮してまいります。

などと、難しげな言葉が掲げられているが、平たく言うと「おもちゃ屋とゲーム屋の結婚」である。
そのことを示す最も象徴的な出来事は、統合説明会においてガンダムとパックマンの人形を交換している両社の社長の姿である。
バンダイとナムコ、経営統合に関する説明会を開催「世界でも類を見ないエンターテインメント企業体となる」
(from GAME Watch)

なにしろ日本最大の玩具メーカーと創設50年の歴史あるゲームメーカーが一つになるのだから、まずはその経緯に焦点を当ててみる。

「今回の話が無くても、バンダイは2006年度には純粋持株会社にしようという構想を社内的に言っていた」(バンダイ・高須社長)と記事中でも触れられている通り、バンダイ自体は既に自社の組織再編を検討中であったとのことだ。しかし、今回の経営統合の話のきっかけとなったのが、かの『プロジェクト・ペガサス』であったという話は興味深い。IT Mediaは、なかなかうまいタイトルをつけている。

きっかけは「一年戦争」──ナムコ・バンダイの進化論
(from IT Media)

バンダイはかつてセガとの合併が白紙撤回となった過去を持つ。しかしこの度のナムコとの経営統合には、企業風土の合致や現場社員の支持を始めとして好条件が揃っていたのであろう。

加えて、今回の統合の肝は事業ポートフォーリアの補完性が極めて高い点にある。簡潔に言うと、「売り物のダブりが少ない」のだ。例えばナムコがゲーム開発を本業としていることに対し、バンダイはファミコンの昔から外注に頼ってきた。経営統合がもたらすシナジー効果は非常に大きいと考えられる。
統合後の各分野の競合企業は「トイホビーならHasbro、Mattel、コンテンツはDisney、ロケーションはセガ」(ナムコ・高木副会長)などとディズニーの名を挙げるとは大きく出たものだが(笑)しかし、世界的に見ても稀有な総合エンターテイメント企業が誕生することは間違いないであろう。

経営統合は当面、共同持株会社「バンダイナムコホールディングス」の下に事業会社としてバンダイ、ナムコが置かれる形となる。バンプレストやバンダイビジュアルなどの子会社は、事業会社が中間持株会社的な位置付けとなり、従来通り傘下とする。

ただ、経営統合による相乗効果とコスト削減効果を効かせるためにも、重複部門・間接部門の統合と事業再編は段階的に進めていく。中期的には「トイホビー」「コンテンツ」「アミューズメント」「ビジュアル」の各グループに再編する計画だが、具体的な時期などは今後詰めていく。

という訳で、統合後の詳細についてはいまだ決定していない部分も多いが、順当に行けば今年の9月にはセガサミーホールディングスに次ぎ、国内ゲーム業界第二位の巨大メーカーが誕生することとなる。


その他のニュースサイトでの記事は以下の通り。
バンダイ×ナムコ=夢・遊び・感動! 「バンダイナムコホールディングス」設立発表会
(from 電撃Online)

バンダイ×ナムコ統合! 記者発表会詳報
バンダイ×ナムコ統合! 記者会見から気になる発言をピックアップ
(from ファミ通.com)

バンダイ+ナムコ=「夢・遊び・感動」 ナムコ、バンダイ経営統合説明会
(from Game@nifty)

「ゲーム事業の集約が最大のメリット」--ナムコとバンダイが経営統合
(from CNET Japan)


さて、今回の件に関する僕自身の感想を。
ことビデオゲームに限って言えば昔から、ナムコは良くも悪くも独自コンテンツで勝負してきたメーカーである。メイズタイプゲームを確立した『パックマン』、シューティングゲームの金字塔『ゼビウス』など枚挙に暇がない。
僕が最も心配するのは、今回バンダイと統合することによりそのような「ナムコらしさ」が薄れないかどうかである。ナムコの中村会長はダーウィンの進化論になぞらえて、「変化に対応することのできる企業が生き残れる」と述べている。正論である。
しかし例えば、極地環境に適応し空を飛ばなくなったペンギンでも、羽ばたくことを決して忘れない。今後、バンダイナムコホールディングスがどのような形に「進化」するにせよ、時代を越えてユーザー達を熱狂させてきた「ナムコらしさ」の遺伝子を失って欲しくないというのが僕の願いだ。


最後に蛇足ながら、一般紙では毎日MSNの記事の論評が抜群に面白かったのでご紹介。
バンダイ:ナムコと経営統合 きっかけは「ガンダム」
理由は次の一文に尽きる。

しかし、統合の“象徴”となったガンダムゲームも手放しで喜べない状況だ。ゲーム雑誌の評価では高得点がつくなど出来はよいものの、発売1カ月もたたないうちに半額に値崩れを起こしており、小売店が悲鳴を上げている。
「年末のドラクエ8のもうけを全部吐き出した。今後のゲームソフトの売り上げにも影響するかもしれない」(関係者)と、コンテンツビジネスの舵取りの難しさを指摘する声もある。

いくら事実とはいえ、祝言の席にブタの生首を投げ込むような真似はやめてやれよ(笑)


(関連記事)
バンダイとナムコが経営統合へ

amazonで『機動戦士ガンダム 一年戦争』が安売り中


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おーしゃん

>ブタの生首
いや、しかたないですよ。
ウチの店でも期間限定で3980円にしてようやく売れたレベルですから。
大阪などはもっとひどいもので、昨日見たところ1980円で売られていました。
これだけ不遇なソフトが縁結びのきっかけですから、投げ込みたくなる気持ちはわかりますよ。(苦笑)
by おーしゃん (2005-05-04 23:15) 

loderun

『一年戦争』については現在僕もプレイ中ですが、やはりゲーム内容よりも需給バランス(初回出荷本数が多すぎた事)が問題だったのでしょうね。
「ミリオンセラーを目指す!」などと煽ったメーカーにも非がありますが、ゲーム自体は世で言われるほど非道い代物ではないと個人的には思うだけに、残念な状況です。
もっとも、僕の場合は定価で買っていないからという理由もあるのでしょうが(笑)
by loderun (2005-05-10 00:40) 

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