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『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』の誤解 (その2) [レビュー]

『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』 ―バンダイが86年に発売したこのゲームは2つの理由で当初注目されていました。
まず第一に、ファミコンで初めての「ガンダム」のゲームであった点。日本中にガンプラブームを捲き起こした「ファースト」ほどではありませんが、ガンダムは依然として子供達の人気の的でした。
そして第二に、この作品は遠藤雅伸率いるゲームスタジオの製作だった事です。

いまさら説明するのも何ですが、遠藤雅伸氏はナムコの大ヒットアーケードゲーム『ゼビウス』、そして『ドルアーガの搭』の作者として知られます。
80年代と言えば、クリエイター自らがメディアに露出する機会がまだまだ少なかった頃です。しかし、単なる「ゲーム会社の一社員」に過ぎないはずの遠藤氏の名は、当時からゲームファンの間で広く知られていました。言うなれば、「有名ゲームデザイナー」の先駆けだったのです。
85年にナムコから独立した遠藤氏は(株)ゲームスタジオを設立。翌86年に自身初の家庭用ゲームとして満を持してリリースされたのが、この『ホットスクランブル』でした。(*注3

…そこから先の話は、皆さんがご存知の通りです。
このゲームはコックピット視点の3Dシューティングパートと、コロニー内部を舞台としたサイドビューのアクションパートにより成り立っています。しかし、3Dシーンの大味なバランス、グラフィックの違いだけで攻撃方法が変わり映えのしない敵キャラ、『Z』の世界観にそぐわないステージボスのコアなど、ゲームファンとアニメファンの双方の期待に応えているとはとても思えない内容でした。
幼き頃の僕の友人も、「アドバタイズデモはかっこいいんだけどね…」と口ごもっていた事を、よく憶えています。(*注4

これだけなら、この『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』も、“キャラゲーの法則”の証拠の一つとして数え上げられるだけの話になってしまいます。

しかし時は流れ、『ホットスクランブル』の発売から15年経った2001年。
ご存知大型インターネット掲示板の2ちゃんねる、レトロゲーム板の『ホットスクランブル』スレッドにおいて、遠藤氏自らが「釈明」を行いました。
「Zガンダム ホットスクランブル」被害者の会 (from 2ちゃんねる過去ログ倉庫)
その発言は、従来の『ホットスクランブル』に対する一般的な認識を大いに改めるものでした。

要点をかいつまむと、次の通りです。
◇遠藤氏本人は、コックピット視点の本格3Dシューティングゲームとしてデザインした。
◇しかし、その試作品はバンダイが用意した小学生のテストプレイヤーに酷評された。
◇「コナミの『グーニーズ』のようなステージが欲しい」との要望により2D面が追加された。
◇当初の試作版(遠藤氏の表現によれば「作品Z」)こそ、このゲームの本来の姿である。
*注5

これが真相であるなら、『ホットスクランブル』の責を問われるべきは遠藤氏ではないと言う事になります。
自身の「作家性」を保ちつつ、クライアント(あるいは上司)とユーザーの両方を満足させなければならない―これはゲームに限らず、独自性やセンスを問われる職業に携わる人なら誰しも経験することではないでしょうか?なにやら、身につまされる話です。

ところで、この遠藤氏の発言を受けて行われたインタビューがなかなか興味深かったのでご紹介します。

巨匠との雑談・Zガンダムホットスクランブル (from ファミコン小市民

僕が注目したのは、この部分です。

遠藤氏 : ガンダムのゲーム作りたかったから @@@XXたんだよねぇ・・・

インタビュアー : ええっ!!そうなんですか!!!

遠藤氏 : うにゃ。 「△△△△」のゲーム作ったときに色々ゴタゴタがあって
       それから@@@はよその版権モノは使わない!って方針だったんだよね。

伏字が散りばめられていますが、当時の状況をよく知っていれば簡単に解けるクロスワードパズルです。皆さんはわかりますか?

その3に続く)


*注3 実際、『ホットスクランブル』のTV-CMは遠藤氏を大々的にフィーチャーした内容であった。遠藤氏は無給で撮影に協力したとのこと。

*注4 遠藤氏本人も2ちゃんねるで、「あのゲームで一番気合入ってたのは、電源入れてからゲーム始めるまでのアドバタイズだったかも」と発言している(笑)。ちなみに試作版から唯一手直しが入らなかったのが、このオープニング部分であるらしい。

*注5 この「作品Z」は、『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル ファイナルバージョン』という名前で、限定1000本という僅かな数ながら製造されている。
『ホットスクランブル』付属の応募券を送った人に抽選で900名、さらにバンダイ主催のゲーム大会の参加者100名にプレゼントされた。詳しくは記事中の2ちゃんねるログを参照のこと。


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