ダーツブームで考えたこと (米国ゲーム事情) [レビュー]
ダーツブームだ。本当に盛り上がっているらしい。
どうも我が国では、室内遊戯のブームが何年かの周期で訪れる傾向があるようだ。しかし、かつて流行したボーリングといい、ビリヤードといい、実はいずれも外国を起源として長い歴史がある「文化」の一つである。ダーツにしてもその嚆矢はイギリスにあり、500年あまりの伝統があるという。本来は一時の流行で消費してしまうのは失礼な事なのだろうな。
そういえば、ちょっと前に卓球が流行ってるって騒がれた時があったけど、当時卓球台を置いていたような店は今どうなっているのだろう?やっぱり、ダーツを設置していたりするのだろうか(笑)
かく言うオレも先日初めてダーツバーに行ってみた。設置してあったのは日本でも業務用で高い普及率を誇るSPECTRUMだ。海外レトロPCに詳しい人は思わずニヤリとしそうな名前だが、当然両者に関係は無い。僕も今回調べてみてわかったのだが、SPECTRUMの日本での販売にはタイトーが一枚かんでいるようだ(リンク先参照)。アミューズメント魂、いまだ衰えずといった所か。
今回のダーツブームを支えているのが、先端がプラスチック製のソフトタイプのダーツ矢を使い、コンピューターが得点を集計をしてディスプレイに表示してくれるデジタルダーツだ。これが非常に便利で、ダーツに関する知識が全く無くても、煩雑な得点計算をすることなくプレイできる。また、単純な加算式の総得点を競う「カウントアップ」以外に、持ち点から減算して行き、先に丁度0になった者が勝者となる「ゼロワン」、特定の的だけを狙っていく「クリケット」など多彩なゲームをボタン一つで選択できる。高得点をあげれば、派手な効果音やCGでプレイヤーを祝福してくれるのも嬉しい。
かつてのボウリングも、得点計算をコンピューター化することにより大きく間口を広げた。エアホッケーがゲームセンターで定番化した理由も然り。日本のダーツブームは、伝統的な遊戯の「敷居」を下げることにより新規ユーザー獲得に結びつくという定石の延長上にある。
そういう訳で、件のダーツバーでは「初心者」の僕も楽しい一時を過ごすことができた。
ここで唐突に話題は変わるが、ビデオゲームというものは果たしてビリヤードやダーツと同様に、「伝統遊戯」になりうるのだろうか?常に進歩するコンピューター技術と、市場の拡大に伴いジャンルが極限にまで細分化されている現状を鑑みると、一部の好事家を除けば今も昔もビデオゲームを「使い捨て」にしてきた印象が我が国では色濃い。GBAのファミコンミニだってあくまでファミコン生誕20周年にちなんだ、製造数量限定の「ファンサービス」なのだから。
しかし、その流れとは全く逆の答えを示す一つのニュースがある。
WEB上でアミューズメント業界のニュースを発信するサイト「ゲームマシン」より、2005年1月15日号および2005年2月1日号 のニュースダイジェストの中に非常に興味深いトピックが伝えられている。要約すると、アメリカで「ギャラガ」、「ドンキーコング」と言った復刻版の業務用ゲーム機(当然縦長のアップライト筐体!)を自宅用に個人購入する者が増えているという話である。
大変「贅沢な商品」ではあるが、かつて遊んだレトロゲーム達を当時と同じ状態で手元に置いておき、友人や家族・子供たちとその素晴らしさを共有したいという需要が確実に存在するということだ。時代を越えて伝えたい文化、それは必ずしも古臭いローテクノロジーな代物だとは限らない。上に述べたダーツについても、「デジタル化」を推し進めたのはアメリカだと聞く。技術の進歩により「派生」した物を積極的に取り込み、後世に伝えようとする彼らの態度に僕は共感する。
それにしても、アップライト筐体を自宅に設置しようという発想は、アメリカと日本の住環境の差を含め、国民性の違いを改めて思い知らされる話だ。もちろん、日本でもコントロールボックスを購入して自宅でアーケード基盤を楽しんだり、エミュレーターを組み込んだ筐体を自作する超々ヘビーユーザーは存在する。しかし、かの国の「本気度合」はその上を行っているように思える。
今の僕自身の夢もせいぜい、「Matroxのグラボでマルチディスプレイ環境作ってニンジャウォーリアーズやってみたい」ぐらいだしなぁ。
よし、決めた。もしもオレが家を建てることが出来たのなら、その時はテーブル筐体のゼビウス(タイトルロゴが焼きつき)を設置してやる。
などと冗談は置いておき再びダーツの話に戻るが、今回のブームを受けて家庭向けのデジタルダーツがいくつか販売されている。一部商品は売り切れ・入荷待ちとなかなか景気の良い事だ。購入した皆さんにはくれぐれも半年後にはダーツが埃をかぶっているような事のないように(笑)。
謝辞:米国の復刻業務用ゲーム機の話は、RSS登録もさせて頂いているhallyさん(尊敬しています)のClassic 8-bit/16-bit Topicsの記事を参考にさせて頂いた。
こんばんはswimieです。
ブログご覧頂きありがとうございました。
こちらの記事の本旨とは、あまり関係ないのですが
ビリヤードの9ボールは、日本起源だそうです。
三軒茶屋のビリヤードマサで自称元日本チャンピオンの
私の師匠に聞いたので、間違いないと思います。
あとダーツとよく似た「投壷」という遊びが、古く平安の頃から
日本でも遊ばれていたようです。
これもこの間、一休さんでやんちゃ姫が遊んでいたのを
見たので、たぶん間違いないです。
失礼しました。
by swimie (2005-02-16 23:44)
ナインボールが日本起源かどうかはわかりませんが、日本のビリヤードで最も人気がある種目の一つですね。現在はポケットビリヤードが広まっていますが、スリークッションのように穴の無い台でプレイするゲームもあり、奥が深い世界に思えます。「投壷」は初めて知りました。こんな遊戯もあるんですね。
話戻してビリヤードの件。上の記事では巧妙(?)にごまかしていますが、ビリヤードは「デジタル化」の波を受けていないですよね。最近のエアホッケーのように、ボールがクッションしたりポケットに入ると派手な効果音が鳴り響くような仕掛けが、ビリヤードにもいつか導入される日が来るかもしれません(笑)。
by loderun (2005-02-17 15:48)
こんばんはswimieです。
ビリヤードは確かに来るかもしれません。
あれの台はラシャがよってしまったり、はげてしまったり
水平に保つのも難しいらしいです。
メンテナンスフリーを狙ってデジタル化されるかも。
あとはボーリングなんかも波を受けるかも
知れないですね。
by swimie (2005-02-17 23:53)